学校に来るカウンセラーさんとの面談をお願いすることにした。
連絡帳にその旨を記載し、希望日時なども併せて書いておいた。
そのまま先方がスケジュールを調整して日付と時間を指定されるのかな?と思っていたのだが。
どうやら違ったようだ。
このあたりは、実は学校によって流れが多少異なるらしい。
息子の通う小学校では、まずは担任の先生から連絡が入った。
「その後どのような感じですか?」
と優しく聞いてくれるその先生はとても信頼のおける人物なので安心して話すことができる。
まだ前回話した時と状況はそれほど変わって居ないのだが、それでも最近の変化などをお伝えした。
「今回カウンセラーを利用することに決めたのは何か心境の変化があったのですか?」
とも聞かれたが、ここは正直に息子の心の傷が深そうだから少しでも改善したいのだと伝えた。
学校に居る時の様子を観察すると、見た目にはだいぶ元気になっているという。
屈託なく笑うようになったし、お友達とも活発に遊んでいる、と。
ただ、心の中までは分からないので心配なら受けてみましょう、と言ってくれた。
元気になってきているのは誰の目からも明らかで、子供の回復力って凄いなと驚かされる。
思春期に入る前だから、それも良かったのだという人もいる。
確かにもっと物事を深く考えるようになっていたら、あの状況をいつまでも消化することができなかったと思う。
せっかく離れても、受けた虐待の記憶がいつまでも鮮明に残り続けて苦しみから解放されない日々が待っていたかもしれない。
だから、私もこの言葉には『なるほど』と感じる部分がある。
でも、自分の思いを上手く伝えられないうちから虐待を受け続けたことによる弊害もあると感じている。
父親からされたことが、どんなに嫌だったのか。
どれほど辛かったのか。
あの頃の息子には上手く説明できない。
上手く説明できないと周りの人たちには十分に分かってもらえずにそのまま諦めてしまう。
これまでの息子は、辛い思いを抱えてSOSを発し、それでも理解してもらえないことの繰り返しだったのではないか。
ふと、そんな気がした。
幼いからこそ自分の力ではどうにもできなかった。
先生には、最初は私だけで話したいと伝えてOKをもらった。
「事前の情報として色々とお伝えしておきたいこともあるので………」
と言うと、先生は
「そうですね。それもありますがお母さんも抱えているものを吐き出した方が良いですよ」
と言ってくれた。
先生にとっては何てことない言葉だったのかもしれない。
でも私にはとても嬉しかった。
こんなところにも私たちを助けてくれる人がいる。
学校は息子が多くの時間を過ごす場所だから、やはり信頼できる人がいると思うと心強い。
これで日時が決まったら、その日は仕事を抜けて学校に向かうことになっている。
亀の歩みではあるが、少しずつ進んでいるのかな。