息子が節分の豆をまいていた。
いつもよりも一生懸命にまいていると思ったら、
「鬼はお父さんだから、お家の外に出て行ってもらおうと思って」
と言っていた。
なるほど。
心の中で『お父さんは外!』と念じながらまいているらしい。
あまりに熱心なので、母が笑って
「今どきの子にしては珍しいわね」
と言っていたのだが、お父さん=鬼のことを話したら妙に納得していた。
こういう行事も、我が家は欠かさなかった。
夫はああ見えて信心深いところがあり、きちんとやらないと気持ち悪いと感じる人だった。
だからきっと、今頃我が家でもやっているに違いないと思うのだが。
いつもその後にまいた豆を掃除していたのは私なので、今年は誰がやるのだろう。
神経質なところのある夫は、こういった行事に熱心なだけでなく、変なこだわりもある。
例えばカレンダー。
私としてはカレンダーがあると行事の予定を書き込んだり、休みまでのスケジュールを考えたりして便利なのだが。
夫はカレンダーを飾ることを嫌った。
カレンダーがあると精神的にストレスがかかるらしく、いつしか飾らなくなった。
その具体的な理由を聞いても曖昧で、カレンダーがあると『悪いこと』が起きる気がするらしい。
いつも威張っているくせに、こういうところは気が小さいんだなと思ったが、体調が悪いせいもあるのかもと思って夫の希望通り飾るのを止めた。
だから、我が家にはカレンダーが一つもなくて。
いつもスケジュールを確認する時には携帯を開いていた。
だけど、携帯を開いていると、夫が
「何してるの?」
と画面を見てくるので、確認も自由にはできなかった。
何もやましいことをしているわけではない。
ただ、何度もそういうことが続くと目の前で携帯を開くのも気を遣うようになってしまい、段々と家では携帯に触れなくなった。
夫は常に私の心変わりを疑っていたので、携帯=浮気と思っていたのではないかとも思う。
非常に面倒くさい人だから、夫の機嫌が悪くならない方を選ぶと周りとの連絡を取らないという選択肢しかなく、そのために失った関係もたくさんある。
前に夫が、『幼い頃にお母さんから布団叩きで叩かれた』と言っていた。
そのことが大人になってからも忘れられず、ことあるごとに思い出しては恨みがましく感じるらしい。
それならば、息子はその比にならないくらいにひどいことをされているのだから、自分のしたことが決して許されることではないと分からないのかな。
まさか、自分がやられたから子供にやっても良いという理屈?!!
どれほど嫌だったかを力説する夫には、どうやら自分の気持ちしか見えていないみたいで、息子の気持ちなどお構いなしだ。
うちの実家にはカレンダーがあるが、お気に入りの物がいくつも手に入ると並べて飾っている(笑)
別の部屋に飾れば?と言ったのだが、目につく場所でないと意味がないらしい。
キッチンとリビングに飾ってあるのだが、リビングには二つ…。
一つは風景の写真のもので、もう一つは猫のイラスト。
どちらもお気に入りのようなので、こういう楽しみ方もあるのかな。