せっかく話し合いをしたのに、夫がこれまでと変わらずどうでも良い話をしてくる。
離婚の話し合いがまるで一切無かったかのようになるのが怖くて。
忘れないで欲しくて離婚届を自宅に郵送した。
二通郵送したのは、『書き間違えた』と言われて破棄されてしまうのを防ぐため。
以前、夫から
「離婚には同意したし、家を出たことももう何も言わない。だけど、離婚のタイミングはこっちに決めさせて」
と言われた。
私側の我儘を散々聞いたのだから、最後ぐらい自分の意見を尊重して欲しい、と。
家を出たことを自分勝手な我儘だとは考えていない。
けれど、急に言われて戸惑う気持ちは理解できる。
だから、
「なるべく早くして欲しい」
と伝えて夫が動くのを待った。
世間体を気にする夫は普通(?)の家族を維持することに対して未練があるのか、できれば元に戻りたいような素振りを見せる。
そんな未来は一切ないのだと伝えても、諦められないように見える。
相手がそういう状態に陥ったらこちらから区切りをつけないとズルズルいってしまうと思って今回郵送した。
これで夫がどう出るか。
実は離婚届けは5枚もらってきた。
役所に行った時、そのフロアに行けば普通に置いてあるものだと思って探したが見当たらなかった。
前は置いてあった気がするんだけどな。
それで、職員の方に
「すいません。離婚届けってどこにありますか?」
と聞いたら、裏の方から持ってきてくれた。
「何枚必要ですか?」
と聞かれて
「2枚お願いします」
と答えようとして、ふと考えた。
今回上手くいかなかった場合に再度取りに来るのは億劫だから、少し多めにもらっておこうかな。
それで、
「………5枚ください」
と答えたのだが、それを聞いた職員の方は少し驚いていた。
でも、すぐに何でもないことのように対応してくれて
「5枚ですね」
と言いながら数えて渡してくれた。
こういうシーンに出くわすと、人は『何か事情があるに違いない』と思うのだろう。
私だってこういう人を見たら、何か大変なことがあるんだなと思うに違いない。
今回、離婚届を実際に手にしたら、これまでとは違ってとても現実味があり、色んなことを考えてしまった。
前は『離婚したい』という願望が先行していて現実が追い付いていなかった。
でも今は違う。
はっきりとその先に離婚という選択肢があり、それ以外の道にそれることはもうない。
だからなのか、出会ってから結婚するまでの日々のことや、夫が病気になっても家族で頑張ってきたことを思い出して、少しだけしんみりとしてしまった。
私の人生の中で、夫と過ごした時間はあまりにも長かった。
これまでの時間が霞んで見えてしまうくらいに強烈で、そのトラウマからは逃れられる気がしない。
幸い息子がいるから、忙しい日々を過ごしているうちにいつかは薄れていくと思う。
それを期待しつつ、今できることをしっかりやっていこう。
できれば夫を怒らせないで穏便に済ませたいという思いもあるのだが、それは難しいかもしれない。
自分が見捨てるのは良くても、見捨てられるという事態は想定していないはずだから。
最後の最後まで抵抗される可能性もある。
事件沙汰になるのだけは避けたいので、どうしても慎重になってしまう。