以前義父に聞かれたことがある。

 

「毎月の給料はいくら?」

 

と。

 

えっ?

 

それってめちゃくちゃプライベートなことですけど?

 

その頃ちょうど夫が病気のために職を失って、私だけのお給料で生活することになった。

 

だから心配して言ったのかな?と思わなくもないのだが。

 

いきなり聞かれたので、思わず『えっ?!』という声が出てしまった。

 

義父もちょっと気まずくなったのか

 

「いやほら、○○(夫)が働けなくなったから。○○(私)さんのお給料でやって行けるのかと思って」

 

と言われ、納得した。

 

事務職だし、今の会社に移って間もない頃だし。

 

心配するのも当然かもしれない。

 

前の会社は経営が立ち行かなくなって、会社を畳む数か月前から『次を探すように』と言ってくれた。

 

仕事中にも関わらず、

 

「ハローワークに行ってきて良いよ」

 

と言うような優しい社長だった。

 

ご厚意に甘えて何度も中抜けしてハローワークに通ったけど、手に職を持たない私の転職は難航した。

 

結局前の会社の最期の日まで決まらず、社長はとても気にしていた。

 

我が家の状況を知っていたので

 

「へんな気起こすなよ」

 

と何度も言った。

 

将来を悲観して………という話はよく聞くが、その頃の私は必死に前を向こうとしていて、

 

社長にも

 

「大丈夫です!決まったら報告しますね」

 

と言って安心させようとした。

 

本当に良い人だったから、困っているような悲しんでいるような、そんな顔をさせてしまうのが申し訳なかった。

 

無職になった後も一日おきにハローワークに通い、やっと見つけたのが今の仕事だった。

 

それを報告した時にはとても喜んでくれて、やっと安心したようだった。

 

ただ、お給料はやはり前よりも安くなってしまった。

 

仕事が無いよりは良いとは思うのだが、やはり日々の生活は極限に近いところまで節約しなければならない。

 

 

 

 

そんな話を義父は夫から聞いていたのだろう。

 

『家賃が無ければ』と何度も言ってきた。

 

でも、それって義実家で同居ということを暗に匂わせているんだよね。

 

せっかく決まった職場から義実家は遠いし、スペース的にも私たちが住める余裕はない。

 

与えられる部屋は恐らく夫が実家に居た頃の6帖一間だと思うのだが。

 

そこに家にあるものを全て持って行くのは不可能だし、夫が使っていて不要になったタンスや机もまだそのままになっている。

 

だから、暮らすこと自体が不可能なのだが、義父はことあるごとに同居を持ち出した。

 

何度もお給料のことを聞かれて、仕方なく正直にざっくりとした額を伝えると、ちょっと驚いた感じで

 

「それだけで暮らしていけるの?!」

 

と言われ、ほんの少し怒りがわいた。

 

『それだけ』と言われても、私には精一杯だし。

 

副業をしたいけれど家のこともしなければならないし。

 

私が居ないと夫が息子を虐待する時間が長くなるので、なるべく家を空けたくない。

 

だから、限られた時間の中で稼がなければならず、八方塞がりという言葉がまさにピッタリの状態だった。

 

とうとう私の月給を知った義父は、義母とも

 

「そんなに少ないんじゃ大変だね」

 

と何度も話していた。

 

何度も言われると流石にちょっと心が抉られる。

 

あの時のことが衝撃だったのか、夏に家を出て別居を始めてからも義父は

 

「あんな少しの給料でどうやって暮らしていくんだ」

 

とまるで説教するように言ってくる。

 

でもね。

 

夫は無職なんですよ。

 

無職で収入ゼロ円なんですよ。

 

そんな夫のことは棚に上げ、安月給の私には孫を任せられないと嘆いている。