週末が近づいてくると、夫がいそいそと連絡を入れてくる。

 

他愛のない話だけの時もあれば、やや深刻な話もあったりして。

 

本当は全てシャットアウトしたいのだけれど。

 

今はまだ離婚について話し合わなければならない時だから。

 

こんな状況では無視できないなと思って対応してきた。

 

どうやら週末が近づくと息子に会いたくなるのか、最近は頻繁にその話をされるようになった。

 

警戒しつつ、なんやかんやと理由をつけて会わせないようにしていたら

 

「お前だけの子どもじゃないんだぞ!」

 

と怒られた。

 

そんなことは分かっている。

 

でも、あなたは虐待をしていたのだから、息子から拒絶されても仕方がないはずだよ。

 

夫だって内心はそれを分かっているのに認めない。

 

何があっても親だから子供に会う権利がある、と。

 

片方の親からそれを拒まれるのは権利を侵害されているとか言い出す始末。

 

夫の執着が息子に向かっていることは誰の目から見ても明らかで、だけどそれは愛情からではない。

 

本当に愛情を持っているのなら、今までだってあんな酷いことはできないはずだと思う。

 

なぜこんなにも執着してしまうのかと考えてみたのだが、一つ思い当たることがある。

 

それは義両親の存在だ。

 

ご存じの通り、夫の中での優先度(大切さ?)は義両親の方がはるかに上だ。

 

その下に友人や義弟などが来て、最底辺に私となる。

 

息子のことは多少気にかけているのだとしても、結局はそれほど大事には思っていない。

 

あれほどまでに苛め抜いたことが何よりの証拠ではないか。

 

何度もそういう話をしているのに、夫は都合良く話をすり替えてしまう。

 

事実を認めたくないのか、それとも本当にそう思い込んでいるのかは謎だ。

 

その大切な義両親が息子に会いたがっていて『寂しい』と言うらしい。

 

確かにたった一人の孫に会えないのは可哀そうだと思うし、こんな状況でなかったら何とかしてあげたい。

 

私の実家と義実家は距離的に離れていて『遠目からでもちょっとだけ見せて』ということも叶わない。

 

そういう事情を鑑みても、やはり受け入れることは難しい。

 

 

 

 

いつも夫の顔色を伺って言いなりになっていた私が、何度言われても折れないから不審に思っているようだった。

 

「お前って、そんな感じだっけ?誰かに入れ知恵された?」

 

などと失礼なことを聞いてくる。

 

人はいつまでも同じではないんだよ。

 

二度とあんな生活には戻らないと決めてるから、あなたの言いなりにならないように必死なんだよ。

 

そう反論したかったが、わざわざ火種を投下する必要は無いから黙っていた。

 

最近やっと自分の意思を表すことができるようになってきた。

 

以前なら、夫が少し怖い声を出しただけで機嫌を損ねないように夫の望む答えを探した。

 

でも今はもう、それも止めた。

 

対等とは言えなくても、自分の気持ちを伝えることができるのが嬉しい。

 

実際にはまだ本当は怖いんだけど、それを隠しつつ流されないように、不条理なことを受け入れないように話している。

 

夫が怒るかもしれないことを考えると、言葉が出てこない時もある。

 

でも、黙ってしまったら夫の思うつぼだから、必死で言葉を絞り出して拒絶する。

 

それを繰り返しているうちに、自分の気持ちがハッキリと分かった。

 

今までも分かっているつもりだったけど、再認識したというか。

 

もう夫のことは家族としても大切には思えない。

 

一緒に居た時間を全て忘れてしまいたいと思うくらいに心が拒否している。

 

だけど、全部を否定したくないと思っている自分もいる。

 

それは決して夫への情が残っているからではなく、息子の存在まで否定することになるのではないかと感じるからだ。

 

夫と出会わなかったら、こんなに可愛い子を授かることもできなかった。

 

感謝していることがあるとしたら、それだけ。