夫と一緒に居た頃は、長期休みの間、息子はお昼ご飯をもらえないことが多かった。

 

私がきちんと用意していっても、何かに怒っている時にはもらえない。

 

朝ご飯だって毎日食べていなかったので、酷い時には一日一食ということになる。

 

育ち盛りなのだからお腹が空かないはずもなく、腹ペコの状態で私を待ち侘びる日も多かった。

 

帰宅するとお腹のあたりを押さえながら、

 

「ママ、ご飯いつできる?」

 

と聞いてくる。

 

「まだもう少しかかるよ。待っててね」

 

と言うと、駄々をこねるわけでもなく

 

「うん、分かった」

 

と部屋の隅っこに戻って大人しく座り本を読む。

 

だけど、また5分くらいが経過すると

 

「あと、どれくらい?」

 

と聞いてきて、余程お腹が空いているんだなと思って焦って

 

「ごめんね。急いで作ってるからね」

 

と答えると、遠くで夫が息子に対して怒鳴った。

 

「うるせーんだよ!今作ってんだろーが!」

 

別に私は息子に急かされる分には一向に構わない。

 

だって育ちざかりなんだもの。

 

ちょっと動いたらすぐにお腹が空くだろう。

 

腹が立つのは夫に対してで、なぜ息子にご飯をあげないのかという憤りが強かった。

 

どうせ今日もつまらないことで怒って食事を与えていないんだろう。

 

もう顔も見たくないと思うほどの怒りを抱えながらも、夫がキレるのを恐れてお腹の中にその怒りをしまいこんだ。

 

そんな日々が終わればまた学校が始まって、息子はしばしの穏やかなひと時を手に入れるのだが。

 

休み明けには学校で体重測定があって、減っていることがしばしばあった。

 

持ち帰った資料の記入してあるところを確認した後、その結果に合わせて色を塗る。

 

増えていた時と減っていた時とは塗る色が違うので一目瞭然だ。

 

これは学校に提出するものなので、家で息子と一緒に塗っていた。

 

 

 

 

こういう時に普通は心配するものだと思うのだが、夫は違う。

 

息子に対して

 

「なんで減ってんだよ!」

 

と理不尽な怒りをぶつけて

 

「これじゃ何も食べさせてねーみたいじゃねーか!」

 

とキレる。

 

あんな人でも周りの目は気になるようで、学校に提出する物が自分の理想通りでないと怒り狂った。

 

だけど、どんなにキレられてもどうにもできない。

 

息子だって本当はちゃんとご飯を食べたかったのに、与えなかったのはあなたではないか。

 

理不尽なことばかり言う夫を冷めた目で見つめていると

 

「ったく、うちの実家に行けばこういうこともねーのに」

 

と捨て台詞を吐かれた。

 

同居すれば全て解決すると思っていたようだが、きっと夫と一緒にいたらどこでも一緒だ。

 

明らかに間違っているのに加勢する義父のような人が居たら、更に悪化するかもしれない。

 

そんなことも分からず、夫は『俺の実家で同居』にこだわり、それで大半の問題はクリアできると思っていた節がある。

 

現在は家を出て私の実家に居候し、息子はきちんとご飯を食べているし、毎日たくさん笑っている。

 

この短い冬休みの間でも体重が増えて、子供って凄いなと実感した。

 

この数か月で少しだけ大きくなった息子が

 

「ボク、どんどん大きくなってお父さんをやっつけるよ」

 

と言ったのだが、

 

「やっつけなくて良いんだよ。もう関わらないんだから」

 

と答えた。