『家出する』と宣言してから出て行った義弟。

 

本当に人騒がせな人だ。

 

大々的に宣言して出て行ったのだから、しばらくは戻らないのだろうと思っていたのだが、もう戻ってくるそうだ。

 

これじゃあ、のび太君の家出と大差ないよ。

 

向こうは猫型ロボットの力を借りられるから、もっと大冒険をするかな。

 

義弟にとっては今回のことは思い切った選択だったようだが、こちらからしたら騒ぐだけ騒いで振り回された感じ。

 

お金も続かないだろうし、早くに音を上げるのではないかと踏んでいたのだが。

 

その通りになった。

 

予想通り、お金が無かったそうだ。

 

それで、ネットカフェに泊まって最初は解放感に浸っていたらしい。

 

でも、段々と退屈になってきて、家族の皆はどうしてるかな?と気になり始めて。

 

出てきた意味が分からなくなって義実家に電話をかけてきた。

 

電話を受けた義母はオロオロして

 

「今どこなの?!心配してたのよ!」

 

と小さく叫ぶような声を上げた。

 

母親がこんなにも取り乱して自分のことを心配してくれていることを実感した義弟は、さっさと帰ることに決めたようだ。

 

でも、(このあたりが義実家の人だなと思うのだが)せっかくだから少し遊んで帰ると言う。

 

買い物したり、映画を観たりしてからゆっくり帰りたいのだそうだ。

 

『じゃあ、今日中には帰ってくるね』

 

と夫にメッセージを送ったら、さすがに夫もバツが悪そうだった。

 

これは、家出ではないな。

 

外出だ。

 

ちょっとお出かけをして一泊してきただけだ。

 

しかも皆に心配をかけて。

 

義実家の面々は少し大げさなところがあって、何かあるとすぐに大騒ぎをする。

 

しかも、まるで舞台にでも出ているような演技がかった取り乱し方をするので、最初に見た時にはビックリした。

 

今ではそれに対しては慣れてしまったが、正直心の中ではかなりドン引きしている。

 

 

 

 

息子や私が一番に悲しむであろうことが起きても、なぜが当事者を差し置いて自分たちが一番悲しんでいるようなふるまいをする。

 

あれは一体何なんだろう。

 

私たちが家を出た時だって、『一番の被害者は俺だ』とでも言いたげだった夫。

 

息子が受けた傷など頭の片隅にもない様子で、全ての元凶が私にあると信じて疑わなかった。

 

振り回され続けた私たちは精神的に疲弊してしまったし、息子からは笑顔が消えた。

 

それを取り戻すために、今は懸命に努力をしている最中で。

 

もう夫に邪魔されたくない。

 

そういえば、こういう時こそ夫の彼女が力になって欲しいのだが、面倒なことが発生した時にはなぜかステルスになる。

 

義弟のトラブルに関しては息子に特に言う必要もないと思って伝えてないのに、夫は

 

「○○(息子)も心配しちゃったかな」

 

と言った。

 

会ったこともない相手だから、言われてもピンとこないというのが本当のところだろう。

 

でも直接話すとゴリゴリ圧をかけてきて『心配してるだろ?!』という感じになるので、

 

「どうだろうね~。子供だからよく分からないんじゃない?」

 

と答えておいた。

 

息子は今幸せなのよ。

 

放っておいてあげて。