夫の彼女と書いたが、これは当たらずとも遠からずといった感じだ。
二人は認めていないが、少なくとも私たち夫婦の間よりも信頼関係があるように思う。
気持ち的にはスッカリ彼女なのだが、夫はまだ離婚回避を諦めていないので『友達』というカテゴリーに無理やりおさめている。
私たち夫婦がぐだぐだやっている間にどんどん時間が経ってしまい、彼女としては面白くないに違いない。
それなのに、夫の一番の良き理解者というポジションで支え続けている。
このことは本当に感謝しているし、頭の下がる思いだ。
だって、こういう相手がいなければ夫はもっと暴れて猛烈な執着を見せているだろうから。
身動きが取れなくなったら困るから、彼女とは仲良くして欲しいと思う。
そんな彼女だが、新年を迎えて思うところがあったのかメッセージを送ってきた。
当たり障りのない挨拶と、皆で集まるから来ないかというお誘いだった。
私はこのメッセージを見た瞬間、体がぞわっとした。
なんというか、また違った方面の執着というか………。
もしかしたら、夫と彼女は似た者同士なのかもしれない。
二人とも一つのことに気を取られると周りが見えなくなるから暴走しがちだ。
夫の友人関係の集まりに私を誘うということは、またあの針のむしろのような時間を過ごせということ。
あの空気感は、その場にいた人なら誰もが察知したはず。
しかも、我が家は今離婚問題で話し合っている最中ですよ???
そんな時にもうすぐ元嫁になろうとしている私を誘うのもどうかしていると思うのだが。
夫も乗り気だというから更に驚いた。
絶対に楽しい集まりになるわけがない。
絶句していると、横から息子が
「ママ、どうしたの~?」
と画面をのぞき込んできた。
その人の名前は息子も知っている。
そして父親の友達だということも理解している。
だからか一瞬にして表情が曇り、私の手から携帯を取り上げてささっと何か操作してソファの上に放り投げた。
えっ、何をしたの?
慌てて携帯を手に取って確認したら、彼女に返信した後だった。
一言だけ、『やだ』と。。。
いや、断るにしても色々と言い方があるんだよ?
息子君の気持ちなんだろうけど、これはママに来たものだからね。
大人の責任で返信しないといけないからね。
などと焦りながらもそのまま息子と戯れていたら、すぐに返信があった。
『そうですか。残念です』
と書かれていて
『まだ時間もあるので、気が向いたら参加してください』
とまだ諦めていない様子も見せていた。
私を呼んで一体何がしたいんだろう。
そんな罠があると分かっているような場所にみすみす自分から行くほどバカではない。
これが夫と彼女の正式なお付き合いの発表とかなら万歳三唱ものだが、何か裏がある気がしてならない。
基本的にビビりなので、怪しいところには近づかないを通してきた。
今回ももちろん不参加決定だが、彼女のことを知れば知るほど本当に分からなくなる。
これを言うと自分にも特大ブーメランが返ってきてしまうのだが。
夫のどこが良かったの?
これに尽きる。
私の場合はまだ社会人経験も乏しく、良い面しか見せてもらってなかったから騙されてしまったという部分はある。
でも、彼女は長年夫と友人関係にあり、私との離婚問題も目の当たりにしている。
悪いところもほとんど把握しているはずなのに、それでも惹かれるなんてことがあるのだろうか。
人って本当に分からない。