息子が夫からのクリスマスプレゼントを拒否していることを伝えようと思いつつ、だいぶ日が過ぎていた。

 

今週の頭には既に伝えようとは思っていたのだが。

 

月曜日は何となく忙しなくて放置し、火曜日になったら明日伝えようと先延ばしにした。

 

それで水曜日になって、そろそろ送らなければと重い腰を上げたというのが本当のところ。

 

このままでは催促がきてしまうと焦り、ようやくメッセージを送ることにした。

 

こういう時に考えてしまうのが、どのような文面にすべきなのかということ。

 

これまでは怒らせないようにと、それだけを考えて行動してきたのだが。

 

今の息子の思いを包み隠さずストレートに伝えた方が良いのではないかと思った。

 

そうでないと、軽いジャブ程度では夫には全くダメージを与えられない。

 

息子はこんなにも傷ついているのに。

 

夫の方は無傷で………。

 

傷つけた側が何もなかったかのように接してくることが許せなかった。

 

これまで反撃に怯えて何も言えなかったのは、一緒に暮らしていたから。

 

幼い息子に容赦ない暴力をふるい、私の目の届かないところで執拗にいじめた。

 

反論すると余計に酷くなるから、言いたいことも言えなかった。

 

いつか取り返しのつかないことになるのではないかと、想像しては絶望に似た気持ちを感じていた。

 

だから、常に言葉を飲み込んできたが、今なら言える。

 

遠く離れた場所に居る夫が、私たちを傷つけることはできない。

 

家から実家まではとても遠くて、今の夫には移動できないのだから。

 

その事実が私に少しだけ勇気を与えた。

 

 

メッセージには、このように書いた。

 

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○○(息子)がクリスマスプレゼントに欲しいものが分かりました。

 

クリスマスツリーです。

 

でも、新しいものではなく、去年二人で飾り付けたあのクリスマスツリーが欲しいそうです。

 

あの時に捨ててしまったツリーのこと、覚えてますか?

 

それ以外の物は一切要らないと言うので、何も贈らないで大丈夫です。

 

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何度も書いては消し、書いては消しを繰り返してやっとメッセージが完成した。

 

きっとこの内容を確認したら、夫は怒ってすぐに連絡してくるに違いない。

 

それを考えると送信をなかなか押せずにいたのだが。

 

怖いことや嫌なことを先延ばしにすると、悶々とした時間が長くなってしまうから。

 

思い切って送信した。

 

 

 

 

まだ時間が早いので夫はすぐに見るはずだ。

 

やっぱり、がっかりするだろうか。

 

それとも怒り狂って、上手く息子を誘導できない私をなじるだろうか。

 

こういう時、夫の求めているような答えに導くという役割を私に求めた。

 

今回、夫が満足できるような答えでなかったから。

 

その役割を放棄したと見なして攻撃してくるかもしれない。

 

そう思って緊張しながら携帯を見つめていたのだが、いつまで待っても返事は来なかった。

 

来ないことは喜ばしいのだが、ベッドに横になってから連絡が来るのも困る。

 

すっかり睡眠モードになっているところに夫の声を聞いてしまうと、緊張とか嫌悪感とか色んな感情がわき上がってきて眠れなくなるから。

 

結局2時間ほど待っていたが、深夜になっても一向に返事は来なかった。

 

これ以上待っても来る保証はないので、私は気になりながらも寝ることにした。

 

でも、横になってからもなかなか寝付けない。

 

そもそも夫と連絡を取ることが大きなストレスになる。

 

それに、これは夫が求めている答えではないことを十分に分かっているから。

 

どのような反応が返ってくるのかが怖かった。

 

『やっぱりショックを受けたのかな』と思ったり。

 

『今日は早く寝てしまってまだメッセージを見てないのかも』と思ったり。

 

どれくらいの間、このことを考えていただろうか。

 

気づいたら寝ていたようで、気づいたら朝になっていた。

 

携帯を見ながら寝てしまったようで、手に握りしめたまま。

 

起きてからすぐに確認してみたが、夫からの連絡は無かった。