この間、離婚についての話し合いをした時に夫から頼まれたことがある。
それは、息子から欲しいものを聞いて伝えること。
もうすぐクリスマスがやってくる。
父親として何か贈りたいのだと言う。
これまでの日々は虐待が酷過ぎて。
痛めつけることしかしてこなかったように感じてしまうのだが。
実はクリスマスや誕生日には欠かさずプレゼントをしてくれていた。
それも息子が欲しいと言っていたものを時間をかけてリサーチし。
入手困難なものでも、こっそり用意するという力の入れよう。
息子は去年までサンタさんを信じていたので、寝た後にこっそりと枕元に置いた。
なかなか寝てくれなくてハラハラしたり。
寝たと思ったのに実はコッソリ起きていて。
サンタさんが来るのをワクワクしながら待っていることに気づき、焦ったこともある。
サンタさんが親だということを、そう遠くない未来に気づくと思って、あえて教えるようなことはしなかった。
でも去年まで全然気づかず。
お友達も優しいので、そういう息子に合わせて会話してくれていた。
それが面白いのなんの。
息子「ねぇねぇ。○○君は今年はサンタさんに何をお願いするの?」
友達「えっ………、俺?!………えーと今年はゲームかな」
返答まで少し間があったが、頭の回転の速い子なのですぐに状況を理解して合わせてくれた。
明らかに友達はサンタさんが誰かを知っている様子なのに、馬鹿にすることなく対応してくれた。
でもふと不思議に思ったらしく
「でもさ、サンタさんにどうやって欲しいものを伝えるの?」
と聞いていて、それに対して息子は
「お手紙を書くんだ」
と答えた。
その時、友達が私の方をチラっと見たのを見逃さなかった。
恐らく、これはこのまま話を合わせた方が良いんだよな~という感じだったのだと思う。
目が合った私は思わず苦笑いした。
それでそのままサンタさんを信じた状態でクリスマスを迎えることになり。
当日に枕元にプレゼントが置かれているのを見て大喜びだった。
そんな思い出もあるから、夫もまた喜ばせたいと考えたのだろう。
ただし、今年は大きな問題がある。
息子は周りから、サンタさんが本当は居なくて親がプレゼントを用意していることを聞いてしまった。
少しショックを受けたようだが、すぐに納得したらしい。
考えてみたら可笑しいよねって。
「ママはいつもサンタさんにお手紙を出すって言ってたけど、住所はどうしてたの?」
と聞かれた時には驚いた。
「ポストにちゃんと入れるか心配だから一緒に出しに行きたい」
と言われ、仕方がないから実家の住所を書いた。
「だから今、お手紙がおじいちゃん家にあるよ」
と言ったら、ちょっと恥ずかしそうにしていた。
あれはサンタさんだけが読むと思って書いたから、と。
こういう事情があって、夫から何か贈りたいと言われても今年はサンタさんからということにできない。
それで正直に
「お父さんがクリスマスプレゼント何が良いって聞いてきたんだけど」
と伝えてみたが、息子は断固拒否した。
そりゃーそうだ。
いくらプレゼントに力を入れていたと言っても、そんなことで帳消しにできないことをしてきたのだから。
クリスマスの前に綺麗にツリーを飾り付けて二人でウキウキしていた時に、訳の分からないイライラをぶつけてきて破壊してしまったのは誰?
楽しそうにしている息子が気に入らなくて、暴力をふるったり無視をしたり。
私が居ない時にはご飯もあげなかったのは誰?
真冬の凍える日にTシャツ一枚、しかも裸足で外に放り出したのは誰なの?
どれも息子にとっては許しがたい記憶であり、そう簡単には消えない。
だから父親からのプレゼントは要らないとピシャリと断られてしまい、それ以上は話が出来なかった。
これを夫に伝えるのが、これまた気が重い。
だって、プレゼントをあげると言ったら喜ぶと勘違いしているのだから。
あなたと息子はそういう関係ではないんだよ、と言いたくなった。
既に親子関係が破綻していて、認められる日は一生来ないのではないだろうか。