最近はずっとお金のことが頭から離れない。
このままでは、本当に金銭的な面から計画通りに進まないかもしれない。
自動引き落としになっている家賃や光熱費が支払われた後の残高は、私たちの交通費をまかなうのに十分ではなかった。
毎月数万円もの赤字が出ている状況で。
財布に入っているのはいつも数千円ほど。
息子が私を待っている間にお腹が空いて何か買うことがあるのだが、その分は母がくれたので助かっていた。
こんな状況を早く変えたくて、夫とも早急に話し合わなければと思っていた。
焦りを感じていたのにはもう一つ理由がある。
それには、知り合いの夫婦のことが関係していた。
二人は長く別居をしていたのだが、結局亡くなるまで籍を抜くことはなかった。
どうやら旦那さんの方がモラハラDVだったようで、奥さんは子どもが小さいうちに別居に踏み切った。
複数いた子どもは、2体1でそれぞれが引き取ることになり。
一番下の子が旦那さんのところに置いて行かれた。
経済的な状況などを考えても、全員を連れて行くのは難しかったのだと思う。
でも、置いて行かれた子どもの気持ちを考えると胸が締め付けられた。
子どもを可愛がることもなく、一定の年齢になったら度々放置されるようになり。
結局は面倒も見ないまま父親だけがどこかに行ってしまった。
その子は自力で頑張って学校を卒業し、きちんと就職できたのだが。
奥さんの方はその子が大人になるまでずっと会うこともなく、籍もそのままにされていた。
『離婚』を言い出す時にかなりの勇気がいることは私にも分かる。
恐怖に支配されていると、そこから逃げ出したくなるのも理解できる。
でも、タイミングを失ってしまったせいでずっと離婚もできなくて、子どもとも交流できなかったのだとしたら、それこそ不幸だ。
私はそのような事態に陥るのを恐れ、今勇気を出して夫に伝えなければ、と思った。
その機会はすぐにやってきた。
こちらが話したくなくても、頻繁に電話をかけてくる夫。
ホテルに泊まっていて周りには誰もいない日を選び、伝えることに決めた。
仕事が終わり、ご飯とシャワーを済ませて寛いでいると、いつものように夫からの電話が鳴る。
夫の方は今日言われることを予測できるわけもないので、いつも通りにどうでも良い話を長々と続けていた。
少しの間があり、今がチャンスだと思った。
躊躇っていてはまた言えなくなると思い、勢いに任せて『もうそろそろ本気で話し合いたい』と伝えた。
言った後は心臓がドキドキしていて呼吸を整えるのに一苦労。
でも、予定通りに言えたということが嬉しかった。
夫は私からの提案を聞いても、なかなか返事をしない。
考えているのだろうか?
でも、今までにもう十分に考える時間はあったはずだ。
私たちの気持ちが変わらないことも分かったはず。
これ以上長引かせることは、夫が大切だと公言している息子を苦しめることに他ならない。
もし、『もう少し時間が欲しい』などと言ってきたらどうしようと考えていたら、意外にも夫は軽い感じで
「いいよ」
と言った。
正直なところ、意外だった。
もっとゴネると思っていたのに………。
あまりもすんなり承諾してくれたので、何か裏があるのではないかと身構えたが、
「その代わり、二人だけで話すのは良くないから〇〇(夫の友人)に間に入ってもらいたい」
と言うので、私はすぐに賛成した。
私としても二人だけで話すのは怖いし、○○(夫の友人)さんは友人の中でもかなり常識のある方なので、上手く収めてくれるのではないかと期待した。
本当はこちらも誰か一人付き添ってもらいたいと提案しようかとも思ったのだが、ここで夫がへそを曲げたら話し合いの機会を失うのではないかと考えて止めた
とにかく、やっと話し合えることになりホッとしている。