息子のためにと、コツコツと積み立てたお金がある。

 

これは一体誰の物なのだろうか。

 

もちろん結婚してから貯めたものは夫婦の共有財産という考え方があるのは知っている。

 

預金の内訳はお祝い金や児童手当、ごくたまに給与からも積み立てた。

 

夫はそれを、夫婦の財産だと言う。

 

つまり、別れることになったら半分ずつ受け取ることになる、と。

 

割合としてはお祝いが半分以上を占めている。

 

あとは児童手当と給与からの積み立てで。

 

もし分けるとなったら、その対象は私の給与から積み立てた分だけではないの?

 

それも、大した額ではない。

 

ごく僅かな積み立てを、夫は本当に欲しいと思っているのだろうか。

 

恐らくそうではないと思う。

 

要は、私と息子が二人で暮らし始める準備をすること自体が気に入らないのだ。

 

お金があればその準備もスムーズにできるし、自分から離れていく日も近い。

 

だから、阻止するために邪魔したいのではないかと感じた。

 

そういう雰囲気は言葉の端々からも分かるのだが、本人はそれを否定する。

 

「お前たちのことなんでどうでも良い」

 

と。

 

でも、話していたら段々とその内容が変わってきて、

 

「お前のことはどうでも良い。でも、○○(息子)のことは諦めきれない」

 

と言った。

 

どの口が言うかという感じだが、虐待していた割には息子に対して妙な執着心を見せていた。

 

息子にとってはとても迷惑な話だし、早く精神的にも開放されたいと願っているというのに。

 

 

最近は『もしかしたら夫も少しずつ諦めの気持ちが出てきているのかもしれない』と感じたのは間違いだった。

 

自分の話に私がどのような反応をするのかを見ているようだ。

 

たぶん、私が良い反応を示したら、それが正解だと判断して自分が変わったというアピールをしてくるに違いない。

 

息子名義の預金に関してはこちらも妥協することができなかったので、キッパリと

 

「これは分けられないよ。何があっても」

 

と言った。そして

 

「息子のためのお金で、これからも息子のこと以外には使わないよ」

 

と伝えた。

 

 

 

 

大金持ちが財産をめぐって争っているのならまだ格好がつくが、我が家にあるのは息子がこれから成長していくにあたり必要になる分も賄えていない。

 

少しでもやりたいことができるようにと、ほんの少しだけ余裕があった月には少額でも積み立てた。

 

こうやって話をしているうちに、どんどん夫に対して尊敬する気持ちが失われていく。

 

出会った頃は、仕事ができて後輩の指導なんかもしていてキラキラしていたのに。

 

夫に失望するたびに、私は自分のせいだと思って申し訳なくなった。

 

今までは、夫にもう少し良い奥さんが来ていれば、このような状況にはならなかっただろうに、とも思っていた。

 

でも違う。

 

夫はこれまでもずっと自分に起きたことを人のせいにしてきた。

 

正義感が強いと義父が言うような行動は、自分の気持ちを優先させているだけだ。

 

相手に悟られないように上手に誘導するから気づかないだけで。

 

コントロールされている側は、ずっとモヤモヤした気持ちを抱えながら言うことを聞くようになる。

 

最後は夫の言うことが全てになり、自分の意思が夫と相反する場合には自分の考えが間違っていると思うようになり。

 

自分で考えるのが怖くなって、何でも夫に確認せずにはいられなくなった。

 

それが周りには異様に映ったようだが、私にとっては夫に確認してから決断するのが普通のことで日常だった。

 

コントロールがだいぶ解けてきた今は、夫のことが怖いと思う。

 

コントロールしなければ得られなかった愛情は偽物だということも分かった。

 

お願いだから、もうこれ以上失望させないで。