毎日本当に必死だった。

 

息子は慣れない学童に通い、それだけでも大変なのに。

 

終わったら駅に向かって歩いて電車に乗り、私の職場の最寄り駅で待つ日々。

 

歩いている間も夫や義父が出没するのではないかと警戒していたので、気を抜ける時間は多くなかったように思う。

似た人を見つけると息子は真っ青になった。

 

そして、一目散に逃げた。

 

例えそれが別人だとしても、悠長に確認している余裕なんて無いから、頻繁に走って駅に向かっていたそうだ。

人違いだったから良かったけど。

 

万が一本当に夫だったら、簡単に息子を逃がすようなことはしない。

 

それを考えたら、幼い息子には酷なようだが警戒しないわけにはいかなかった。

この頃、先生に確認されたことがあった。

「もし学校にお父様がいらっしゃったら、○○(息子)君に会わせますか?もちろん会わないようにもできるので、確認しておきたくて」

そう言われて、確かに学校に直接行くかもしれないと今さらながらに気づいた。

きっと私たちが家庭の事情を学校に話しているなんて思わないだろう。

 

『家の中のことを話すなんて、馬鹿のやることだ』と言っていたのだから。

 

ましてや自分のことをこんな風に言われていることを知ったらどう思うだろうか。

 

きっと怒り狂って私たちを攻撃し、その後は自分たちを正当化するためにあらゆる手段を使ってくるに違いない。

 

頭の回る夫に対して正面からは太刀打ちできなくても、不測の事態に備えて対策を立てておけば何とかなるんじゃないかと思った。

 

そう思えたのも、夫と離れることができたからで、一緒に居た頃は逆らったら自分の人生の終わりだと本気で考えていた。

 

 

先生から、夫が学校に来た時に息子に会わせるかと聞かれた時、私の中では迷わず『会わせない』という答えが出ていたけれど、それを強要することはできない。

 

私から見たら虐待をする冷酷なモラハラ夫でも、息子から見たら違う面があるかもしれない。

 

色んなことを考えてしまい、正直迷った。

 

心のままに言うならば、会わせたくない。

 

息子も会いたいはずがないのでは?と思っている。

 

だが、こういうことには教科書に書かれたような正解なんてなくて、時には『父親にも会う権利がある』と声高に叫ぶ人もいる。

 

その権利を一方的に奪うことは、果たして正しいのだろうか。

 

会わせないことは私のエゴなのだろうか。

 

 

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考えれば考えるほど分からなくなってしまい、迷っていると先生が

「○○(息子)君の気持ちが一番大事なので、彼が嫌がったら会わせないで良いと思うんです」

と言ってくれた。

 

この先生はいつも息子の気持ちに寄り添って提案してくれる。

 

だから、心から信頼している。

 

信頼している人からの言葉はとても重くて、自分の考えが間違っていないと背中を押されているような気がした。

 

それで横に居る息子に確認した。

 

すると息子はブンブンと首を横に振りながら

「絶対会いたくない!」

と大きな声で言った。

 

その声が先生にも聞こえたようで

「分かりました。では、会わせないということで周りにも伝えておきます」

と言ってくれた。

 

このような情報は学校内で連携されるらしい。

先生から言われなかったら、夫が学校に直接やってきて息子を出すように要求するかもしれないなんて考えもしなかった。

でも、これで学校にいる間は安心できる。

 

こうやって安心できる場所や時間を少しずつ増やしていきたい。

 

いつか、何も心配せずに過ごせる時がくるように、それまでできることをやっていくしかない。