別居中は夫のことをあれこれ世話しなくても良いので、そういった面ではとても楽だった。
一緒にいる時は、日中に私が仕事をしていて自分は家にいる時でも、何でも私にやらせようとした。
例えば歯医者の予約もそう。
近場ですぐに診てくれそうなところを探し、予約をして欲しいと言う。
日時まで細かく指定してきて、予約をする時には必ず今の症状を伝えて欲しいという。
そんなに細々とした要望があるのならば自分で予約を入れた方が良いのではないかとも思うのだが、それは嫌だという。
日中に義父母が家に来ていて大人が三人揃っている時も、私が仕事中に抜け出して予約を入れるように指示をしてきた。
義父もそれを知っているのに
「我々じゃ分からないからな~」
と悪びれもせず言う。
「そういうのは、○○(私)さんが得意だから」
とも。
得意なわけがない。
知らない人や知らない施設に電話を掛ける時は緊張するし、夫の指定してきた条件をクリアできなければ文句を言われると思うと憂鬱だ。
そもそも、仕事中はゆっくりと電話などしていられない。
常に私の仕事を馬鹿にしていたので、席を外しても問題ないとでも思っていたのだろう。
さすがに長時間席を外すのは憚られるので、なるべく短時間で済ますことができるように事前に入念に準備をした。
しかし、いくら準備をしていてもなかなか思い通りに事が運ばないこともある。
そんな時には、後で分かると責められるのですぐに夫に連絡して、予定通りにはいかなかったことを伝えた。
そして、次の要望を聞いてまた準備をする。
これがかなり大変で、調整に30分を費やしたこともある。
仕事のことは気になるし、夫は思い通りにならなくて怒るしで、本当に困っていた。
仕事がとても忙しくて手が離せない日、夫ができないのなら義父母のどちらかがやって欲しいとお願いしたこともある。
私「今日は本当に立て込んでいて。席を外していると業務に支障が出そうなんです」
義父「それは大変だね~。○○(夫)の件は、手が空いた時で良いから」
(今日は手が空きそうにないと言っているのに…)
私「いえ、一日無理そうなので。できればお義父さんかお義母さんにお願いできませんか?」
義父「………。いやー、我々はもうこんな年だからね。調べものもできないし、ちょっと難しいな」
私「そうしたら明日になってしまうと○○(夫)さんに伝えて欲しいのですが」
義父「今○○(夫)は困ってるんだから、それじゃ遅いでしょ」
こうした会話が延々にループし、一向に埒が明かない。
こんなにも断っているのに義父は何としてでも私にやらせようとし、
義父「とにかく○○(夫)も心配してるからさ。何とかしてやって」
と言う。
夫は本当に自分の心配ばかりしている。
周りに迷惑をかけても、自分の不安を払拭することを優先する。
別居してからも、それまでと変わらず私に色々なことを頼んできたのだが、もうこれ以上は夫のために動こうという気持ちになれなかったので、なるべく日中の電話には出ないようにしていた。
そうするとメールで詳細な依頼が届き、それも無視をすると義父から叱られた。
「自分たちの都合で、好きでそっちに行ってるんだから。それくらいしてやって」
と信じられないような発言をし、夫のことを可哀そうだと憐れんでいた。
夫も良き理解者がすぐそばにいるため、強気に出て、
「お前らが勝手に出て行ったんだから。ちょっとくらい大変な思いをしても、自分が選んだんだろ」
と言っていた。
どうやら、私たちは自分勝手な都合で出て行ったことになっているらしいことが分かり、もう何があってもこの人とは永遠に分かり合えないなと改めて悟った。