せっかく学童に通い始めた息子だったが、結局は夫の気まぐれによって止めさせられてしまった。

 

そのほんの少しの間通っていた時の出来事で、ふとした瞬間に思い出してしまうことがある。

 

あれは秋頃のことで、少しずつ肌寒いと感じる日が増えていた。

小さい頃の息子はあまり器用な方ではなく、要領も良くなくて夫の指示通りにできないことがほとんどだった。

 

だから、毎日毎日叱られていた。

嫌になるほど叱られて、辛いばかりで何の楽しみもない毎日だったが、息子なりにハロウィンやクリスマスなどのイベントを心待ちにしていた。

 

イベントが近づくと私も少しウキウキしながら用意を始めた。

モラハラの夫には恐らくそれが気に入らなかったのだ。
 

その時はハロウィンのバケツや置物を100円ショップで購入して、どこに飾ろうかとか何のご飯にしようかとか話していた。

 

楽しそうに計画を立てる二人の様子を見た夫が息子に向かって

「お前、そんなことしてる場合か?!」

といきなり怒鳴りつけた。

二人とも何のことだかサッパリ分からなかったので、ただただ硬直しながら夫の顔を見つめていた。

 

息子の顔には恐怖の色が浮かんでいる。

 

答えられずに数十秒の沈黙が流れた後、今度は

「お前、分からねぇのか!」

と机をドンと叩きながら怒鳴り始めた。

そして、いきなり息子に

「連絡帳を持ってこい」

と言い、その中身を見て、

「何なんだ、これは?!」

とドスのきいた声で息子に詰め寄った。

私も急いで中を確認すると、教科の部分に「算」や「国」の文字が並んでいる。

 

少しつたないが、意味は分かる。

まさか、この連絡帳が原因だと言うのか。

 

理解できずに夫の顔色をうかがうと、手に持っていた連絡帳を机に叩きつけて、

「こんな読めねぇ字で書きやがって!しかも、何勝手に省略してるんだよ!」

「先生の話も聞かないでチンタラチンタラやってるから終わらねぇんだよ!」

と怒鳴った。

息子は泣きながら一生懸命自分の連絡帳の説明をしていた。

「これは算数の算で、これは国語の国で」

しかし夫は

「そんなこと聞いてねぇんだよ!勝手に省略するなって言ってるんだよ!分かんねぇのか!」

と更にヒートアップ。


 

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息子は怯えながらも

「先生が、時間がないからそういう風に書いてくださいって言ったんだよ」

と訴えたが、聞く耳を持たない。

「そんなわけあるか!」

怒りながら息子の頭や手を何度も叩いた。

「叩くのはだめだよ」

手を振り上げる夫と、両腕を頭の上で交差させながら身構える息子の間に咄嗟に入ったが、怒り狂った夫には太刀打ちできなかった。

鼓膜の破れるような声で

 

「うるせぇんだよ!」

 

と怒鳴りつけられ、力いっぱい手を振り払われた。
 
こういう時は一緒に熱くなったらダメなんだ。

 

そう考えて、冷静に夫をなだめようと

「口で言えば分かることでしょ?」

と言ってみたが、私が息子をかばったことで更にへそを曲げてしまい、

「どうせ俺が悪いんだろ!全部俺が悪いって言うのかよ!」

といつもの調子で曲がった解釈をし、そこから無視が始まった。