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「愛している」
そう言った彼だったが
次に言った言葉は「覚悟ができない」
手を伸ばす彼を拒絶したひより
それに対して彼が言ったのは……?
「お願い、ひより」
再びひよりの顎を掴もうとした彼
ひ「嫌だ」
「お願い、拒絶しないで、お願い」
ひ「嫌だ」
その声も表情もいつもの余裕ぶった彼とは
別人のようで彼の「お願い」の声が切なく響く
(こんなに愛されているのに、結婚はダメなんだ……)
我慢していた涙がこぼれてしまう
「ひより、お願い、今日で最後にしたくない」
彼は彼が「結婚する」と言わなければ
私が去るということはきっと分かっていたのだ
ひ「無理だよ、無理なんだよ」
それでも、あなたは「結婚する」と言わなかったじゃないか……
これ以上、涙がこぼれないように
努めて平坦な声で無理を繰り返した
「今日で最後にしたくない、
今日で最後にしたくない、
お願い、ひより、お願い」
彼は何度もそれを繰り返す
必死に懇願する彼を見て
少し冷静さを取り戻したひより
ひ「元彼くんは私のこと好きだもんね」
「うん」
ひ「愛してるもんね」
「うん」
ひ「復縁するときに結婚前提って言ったじゃん
結婚前提だったから、私は元彼くんを選んだ
それなのに……
責任も取るつもりもないのに
私の時間だけ持っていった」
「ひよりは信じてくれないだろうけど、
俺は本当に前向きに考えて……」
そこで彼は言葉を詰まらせた
つづく
