⬇前回のお話はこちら
今回はひとつの記事がすごく長いです
番外編ということで分けたくありませんでした
読まなくても影響はありませんので、
負担になるようでしたら読み飛ばしてください。
普段人には言わない
私の趣味の話をすることがあった
「ひよりちゃんはどんな詩を書くの?」
ひ「うーん、だいたいが叙情詩ですね
テーマは季節のものだったり、
自分の気持ちと向き合うものだったり、
恋愛ものも書きますよ~」
「恋愛ものも書くんだ!
どんなの書くの?それ見たい」
ひ「え、恥ずかしいです
それに、私自信の恋愛を写実的に書くものではないんです……」
「そうなんだ……
写実的には書かないの?」
ひ「写実的には書かないですね
私にとって、詩は美しくあらねばならないからです
そこに私を入れたら汚くなっちゃう」
「詩人会に入るくらいなんだから、
写実的に書いても綺麗じゃないの?」
ひ「詩のクオリティは、妥協しませんが……
そういう問題ではなくて、
恋愛ものを書くときは、その情景を思い浮かべます
それはたとえば、1枚の絵です
空想でその絵を描いて、それを言葉で描写します
そこでの私はいわば画家です
画家とモデルは兼業できないじゃないですか」
「自分をモデルに自分の絵を描いて、
それを言葉で描写するのはだめなの?」
ひ「憑依みたいなのをすることはありますよ
その絵の中のモデルの中身に入って。
でも、それは私自身じゃない
モデルは私じゃだめなんです」
ひ「なんかここまで語ってしまって、
お見せしないのはあれなので、ひとつだけ。
……じゃあ、これにします。6年前の作品ですが。
この詩のモデルは、化粧をする女。
私が恋愛を書くときによく使う技法なのですが、
昔の歌人の本歌取りっぽくしています。
そして、この詩の本歌は
紅のはつ花染めの色深く思ひし心われ忘れめや」
作品はアメンバー限定で公開の設定で
別の記事として投稿しています。
(読まなくてもこの先に影響はありません
ただ誰でも読めるようにはしたくなかっただけです)
「短歌が元だからか、
なんか時代劇っぽいけど、すごい
こんな風に恋をしたことがあるの?」
「こんな片思いはないですね……
誰かをこんな風に思ったことはないです
でも、その感情を想像して書きます
本歌が「めや」で終わるのは反語という技法です
それだけ思いが強いということ
だから、燃えるような……
それでいて、じっとりと尾を引くような
そういうイメージがあればな……と」
恥ずかしさもあり
ぼそぼそ、と歯切れ悪く話して
ふと、目線を上げると彼と目が合った
「ごめん、今、
すごく一生懸命言葉を探して話してくれてたんだけど、
俺は涙袋がきれいだなって見惚れてた 」
心の中で小さくうなだれた
そうか、あなたは言葉のうつくしさを
知らない人間なのか……
同じ創作の趣味を持っていてもだめなのか
趣味が合うって、それだけでいいことだと思っていたが……
あなたの情熱はそこにないのか
もう誰にも話すまい
こんな歌があった
思ふこと言わでぞただにやみぬべき
われと等しき人しなければ
伊勢物語ㅤ124段
私は個人的にこれは業平本人の作ではないと思っている
だから、後世の伊勢物語の作者が
孤独を業平に歌わせたのだ、と思っている
私が古歌に自分の感情を重ねるように
この歌にはあまり感情を感じないから
これで詩を書くのは難しいだろうな……
