一発の鉄砲の音で新吉は自分が殺されたかと思い念仏を唱えます。気が付くと甚蔵が血反吐を吐いて死んでいます。猟夫が打った流丸(玉)かと絹川の方を眺めますと種が島を持ってやってきたのはお賤。惣右衛門の遺言状の形見分け金も四十九日まで待ってはいられないと衣類や櫛笄・貯えの金子を一風呂敷に二人は明け方近く逐電します。甚蔵の方は村の悪まれ者だったから詮議もなく投げ込み同様、法蔵寺に葬られます。村の者は新吉・お賤が居なくなったのは浮気者の駈落ちでさもあるべし、名主惣右衛門の変死も知ってる甚蔵が殺されたから誰あって知る者は無い。名主の跡目は倅惣次郎誠に柔和温順でお父っさんは道楽のみをいたしましたが、惣次郎は堅い人である日村の友達に誘われ水街道の麹屋で一猪口やり、その時酌に出た婦人お隅齢は二十歳人柄の好い大人しやかでございます。