お累が死んで兄三蔵とも縁が切れた新吉は憎まれ者で付き合う者も無く、惣右衛門は病気でお賤の処で寝ているところへ看病がてらやって来るとお賤は病気の旦那に遺言状まで書いてもらっていた。そして新吉に見捨てないというお前の証拠が見たいと言う、旦那も死にかかっているがまだ55歳だから治ればまた爺の機嫌を取らなければならないので今夜惣右衛門を殺してくれと頼む。新吉は旦那に世話になってるから殺せないと言うがお賤の度胸に押されて二人で首を絞めて殺してしまう。喉首の締めた2本の瘡をお賤は手の掌で水を付けて揉んで瘡は消え本家に旦那が死にそうだと駆け込む。是非なく遺言状をということで書置きには「・・・略、お賤には金50両を・・・略、新吉には世話になったから1人で湯灌を・・・略」、新吉は自分で殺した旦那と思うとおどおどして湯灌が出来ません。そこへ兄弟分土手の甚蔵がやってきて湯灌を手伝うと首に2本の瘡あとが出ている。甚蔵は誰かが殺したに違いねえ、お前が遣ったのなら黙って埋めてやると言う。新吉がお賤と遣ったと白状したから暗いうちに葬りました。七日後甚蔵がお賤の処に強請に来る。お賤は新吉しか知らないと思い甚蔵を追い返そうとする。埒が明かないので甚蔵は新吉を引っ張り出すがお賤には話してないから晩方までなんとか工面して30両持って行くからと甚蔵を帰す。お賤と二人になった新吉はあの日の湯灌場のことを話すと甚蔵を殺してくれと頼まれる。新吉は甚蔵は強い奴だから自分が殺されてしまうと言うとお賤はこそこそと耳打ちをして、甚蔵は悪党だから悟られないようにと惣右衛門の短い脇差を持たして新吉は日暮れ方甚蔵の家へ行き、お賤にすべて話したら旦那の遺した金が根本の聖天山の手水鉢の下に二百両埋めてあるから百両お前にやると言うから新吉は甚蔵を案内して掘りに行く。掘っても掘ってもなかなか見つからず途中喉が渇いて甚蔵谷間に降りて清水を飲み、新吉に一杯汲んで蔦蔓を伝って登って来たところ新吉が脇差でプツリと切ると真っ逆さまに落ち、上から大きな石ころを谷間に転がし落としお賤の処に帰って来て酒盛りをしているところ、血塗れの甚蔵仁王立ち、先ずは新吉からと引っ張り出し出刃包丁で胸元を一突きのその直前、一発の鉄砲の流弾が甚蔵の胸板を打ち抜きます。

ここまでが真景累ケ淵の前半です、このあと惣右衛門の惣領惣次郎と齢の離れた弟新吉を軸とした後半へ繋がり、総締めで2本の軸が交わり新吉・お賤・お熊の登場、自害で本編一巻の幕引きと相成ります。

長い物語お付き合いくださりありがとうございます。

後ご期待。