デフレと言うのは物の値段が下がる現象ですが、それには「良性のデフレ」と「悪性のデフレ」があるようです。 ”良性””悪性”は私が勝手につけた名前です、分かり安くするために・・。

 

良性のデフレと呼んでいるのは、企業が物を作りすぎて製品在庫が溜まりすぎて、それを売りさばくために価格を引き下げざるを得なくなった・・・、とか、前年に設備投資をやりすぎ、その反動で次年度に設備需要が落ち込んで価格が下がる・・・などで起きます。

しかし、このデフレは在庫や設備の調整が一段落すれば数年で解消し、景気も回復します。

 

では、悪性のデフレとは・・・、

土地バブル崩壊(1990年)以降、物価が上がらない状況が続きいわゆる”デフレ不況”といわれてきました。もっとも、2024年現在、長期の異次元金融緩和とドル円金利差が円安を招き記録的物価高をまねき市民生活を苦しめています。

30年続いたデフレは数年で調整が完了する”良性のデフレ”と明らかに違っている・・・と考えざる得ません。 実際、下記の2つのグラフ”物価指数の推移” ”GDP(国民総生産)の推移”を見ても土地バブル崩壊(1990年)の前後で様子が明らかに違っていることが分かります。

日本経済に根本的な変化が無ければこのように長期に渡ってデフレ&不況が続くことは無いと考えるが普通だと思います。 

 

 

 

 

 

では、その”根本的な日本経済の変化”とななんなのでしょうか?・・・考えてみたいとおもいます。

この30年、特にアベノミックスが始まった10年は異次元の金融緩和により、セオリ通りに通貨供給量を増やし続け”企業の投資・増産”を促してきましたが、日本経済はまったく反応してきませんでした。 2024年になって企業側よりも”家計側”が問題なのだ・・・と言うことになって賃金を上げよう・・・と言うことになりました。確かに、賃金上昇が重要と言う考え方はこれまでの金融緩和一辺倒の政策よりはマシ・・・と思われますが、果たしてそれだけなのでしょうか・・・?

 

バブル期を境に日本の経済の基礎的条件の何が変わったのかを認識することが重要だと思うわけです。

一番に思うのは、バブル期を境に日本経済は高度成長期から”安定期に移行”した・・・のではないかと言うことです。 旺盛な需要に支えられた高度成長期に比して、安定期は人々の消費に対する意欲はそれほど大きくはありません、それは、一応の衣食住が満たされ、平和で安定した生活ができる生活環境が整えられたからです。

安定した生活であればまったく問題が無いように思えますが、そこには大きな問題が潜んでいます。それは、「貧富の格差の拡大」と「経済規模の縮小」の問題です。詳しくは下記の記事を参照してください。

 

 

 

この30年の経済規模の縮小はGDP(国民総生産)統計を見れば推察できます。 しかし、格差の拡大については、”ワーキングプアー”や”こども食堂”と言った言葉がそれを示唆していますが、それを確認する統計がありませんあるいは見つかりません。 それゆえ、今日の日本経済の重要な問題が認識がされなくなっているかもしれません。

いまこそ、「ジャパンアズナンバーワン」「平等社会」と言われたころの日本を思い出し、それを取り戻すにはどうしたらよいのか、政治、経済、ともに考えるべき時期だと思うわけです。