2023年末、チェーンソーをふりかざして大統領戦を戦った経済学者のミレイ氏が見事南米アルゼンチンの大統領に当選しました。 

ミレイ氏はチェーンソーを振りかざし「中央銀行をブッ壊す」と国民に訴え当選しました。 アルゼンチンは年率50%のインフレに見舞われ経済は混乱状態にあります。 ミレイ氏は通貨ペソの管理ができない中央銀行はいらない、アルゼンチンの通貨はアメリカドルを使う・・・と訴え、それがアルゼンチン国民に支持されました。

 

通貨にまつわる問題・課題はアルゼンチンだけではなく世界各国に常に経済運営における重要な課題となっています。 

日本では安倍政権下の黒田日銀総裁は「2パーセントのインフレにする、そうすれば景気は良くなる」とこの10年間、異次元金融緩和を主張し続けてきました。 岸田政権になって「経済を活性化するには働く人の給与を上げることが重要だ・・・」ということになって、異次元金融緩和策に「賃上げ政策」がプラスされました。

アメリカでは・・・金融緩和によるインフレを抑えるためFRB(日本の日本銀行に当たる)が金利を上げてインフレ抑制をしています。その影響は各国の通貨安(対ドルにたいする各国通貨価値が低下)を招き、各国はそれに対抗すべく金利をあげてきました。

日本だけはこれまで続けてきた金融緩和による景気上昇が未だ達成されていない・・・、なので・・・、金利を上げることはできない・・・、と頑なに異次元金融緩和を続け、その結果、円安が進み輸入物価が高騰、物価高が市民生活を苦しめています。給与を上げるどころか、実質賃金は下がり続けている。 金融緩和は市民生活を良くするどこか悪化させている・・・、どこかが、何にかが、おかしい・・・。

 

「景気を良くするためにはインフレが重要なのだ・・・」と言う経済理論は聞いたことがありません。 どこの国の中央銀行でもインフレを警戒することはあっても「インフレにナアーレ」と奨励する国を知りません。

安倍政権下の黒田日銀の”インフル奨励の発想”はどこから来ていたのでしょうか?

 

一つ考えられるのは、特に成長期にある経済では経済活動が活発化するとどうしてもインフレ気味になります。 この連想でインフレになれば景気が良くなるはず・・・と発想したのかもしれません。 しかしこの発想は原因と結果が逆転しており・・・インフレが景気を良くするのではなく、景気が過熱するとインフレ気味になる・・・ということです。

 

もう一つ考えられるのは・・・、かって、黒田旧日銀総裁が「インフレになれば、企業の名目利益が増え、それが従業員の給与アップにもつながる」と言っていました。

また、インフレになると企業も家計も貯金が目減りするから早くお金を使おうとするので景気はよくなる・・・ともおっしゃていました。 

いづれも首をかしげる発言だったので深くは考えたことは無かったのですが・・・。

 

三番目の”インフレ期待”の発信源は・・・”財務省”、これが一番正しいかもしれないのですが・・・。 膨大な国の借金(赤字国債)を処理するのに一番簡単な方法はインフレにして貨幣価値を下げてしまえば実質的に国債の償還費用の削減ができる・・・と言うわけです。  10年前の100万円は今50万円の価値に下がっていれば国債の償却がやりやすくなる・・・と言うわけです。 

 

最近では・・・、「インフレ」⇒「インフレに見合うベースアップ」⇒「ベースアップの企業努力のマインド醸成」・・・と言う意見が聴かれるようになりました。 

企業が従業員を大切にし給与だけでなく働く環境の改善にも、かって日本企業は常に努力してきました。 この10年、この伝統的な日本型経営の在り方を壊してきたのがアベノミックスでした。

 

いづれにしても、安倍晋三のアベノミックス(アホノミックスと呼んでいた経済学者もいましたが・・・)と異次元金融緩和は失敗で終わりを迎えようとしています。

そして、私たちはアベノミックスにも異次元金融緩和にもどこか違和感を感じてきて、それに反応することはありませんでした。 経済の専門家よりも私たち市民が経済政策の良し悪しにまともな感覚を持っていたと言えます。

私たち市民が「お金」についてもっとよく知れば、もっと経済政策についてその良し悪しが判断できるのではないかと思うのです。 そうすれば、失われた10年は無かったかもしれません。

それを願って、これから数回、「お金」とはそもそも何なのか???について書いてみようと思います。