写真を良く見て頂くと分かりますが、上の柄は、目釘が2本入っています。

 

 下の柄は、目釘は一つです。

 

 日本刀の9割は、目釘が1個の仕様だと思いますが、当店で新作刀を注文する場合は、殆ど2本目釘仕様で打って頂いています。

 

 形が中心の場合は、1本目釘でもそれ程柄は痩せませんが、試斬中心に使うと、柄の木は結構なスピードで痩せて、ガタツキが出てきます。

 

 しかし、衝撃を2点で支える、2本目釘にした場合、柄の持ちが相当に違います。

 

 写真、上の柄は、私が長年使用した、貞光の柄です。(柄は私の小さな手に合わせて、女性用の様に細いです。)

 

 未だ血気盛んな頃に、何にでも挑戦しましたので、竹・畳表を万の単位で斬った刀です。(畳表の5畳巻きまでは斬れました)

 

 下の一振りはオーソドックスな日本刀で(柄糸の巻き直しは、スタッフSさんの仕事です)

 

 下の柄巻きをやり直した柄が、入り難い程しっかりしているのは当然として、斬りに斬った上の柄も、未だ、全くガタツキが有りません。

 

 あくまで経験則で理論的な裏付けがある訳では無いですが、2本目釘は相当に耐久性が高いです。

 

 そろそろ「じ~ちゃん」世代に入りつつある私と違って、何時でもマラソンを走れる位、筋トレに明け暮れていた頃の、壮年私の斬りまくりに堪えた刀です。

 

 長さが長いため(当時、まだまだ未熟で、「長い方が強いやろ」で長く打ってもらいました。)現在は、流派の正式な納刀の形がし難いので、眠ってもらっています。

 

 ただ、特に硬木の類を使ったわけでは無く、普通の朴の木です。

 

 それを思うと、2本目釘の威力は絶大と思わざるを得ません。

 

 なので、当店が発注して打つ刀は2本目釘仕様にしています。

 

 ところで、1本目釘の刀を、2本目釘に出来るか?

 

 意外と簡単に出来ます。

 

 先ず、所管の都道府県の教育委員会へ、目釘穴を変更したい旨の連絡をします。

 

 すると、変更の申請書類を送ってくれます。

 

 必要事項を記載して、教育委員会に申請します。

 

 今度は、「穴を開けて、何時いつ現物を持ってきてください。」と通知が来ます。

 

 通知された日に、県庁へ行って、確認を受ければ、問題無ければ、その日に新しい登録証を発行してもらえます。

 

 意外と簡単です。

 

 でも、申請やら、現物確認で時間は結構取られます。

 

 お時間と、ボール盤の有る方は、チャレンジしてみて下さい。

 

 それと、この所、店舗の移転準備が大きな負担に成って、ブログもろくに書けません。

 

 本当に申し訳ありません。

 

 今暫くはこんな状況が続くかと思いますが、何卒ご容赦頂きますよう、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

大学で日本刀を作っていたなんて、今の人には信じられないですよね。

しかし、日本刀は「神器」とも言われ邪気を払う神聖なものとして扱われてきました。

大学で研究されても良いでしょうし、如何に多くの先人の心を鼓舞し続けたかに思いを致したいですね。