当店を含む多くのお店で、拵も請け負っておられる所で、基本料金を明示している店の場合、基本的には、金具代(縁頭、鍔、目貫は最低限必須です)は別と成っているのが一般的です。

 

 当店でも、昔やっていたのですが、稀に選べる金具をある程度指定して、金具セットでやっておられる所も有りますが、基本は金具料金は別と考えて頂いた方が良いと思います。

 

 居合をする人の場合は、ほぼ100%「打刀拵」を注文されますが、美術鑑賞や神社への奉納刀等の場合は、「太刀拵」を希望される方も居られます。

 

 江戸時代に時代劇に出て来る、帯に刀を差すスタイルが打刀で、戦国時代以前の合戦シーンに出て来る、刀を刃を下に向けて長い紐を腰に巻き付ける様にして、刀を水平かやや後ろ上がりに付けているのが、太刀拵です。

 

 今でこそ、江戸時代の打刀が刀の拵の代表の様な顔をしていますが、太刀拵は平安時代後期から、安土桃山時代までの長い期間主流であった事を思えば、打刀の時期の方が短いと思います。

 

 ただ、現在では、打刀の注文は山の様に来ますが、太刀拵の注文はほんの稀にしかありませんので、金具の金額や種類は圧倒的に打刀中心に成っています。

 

 太刀拵の金具を既製品として扱っているメーカーを1社は知っていますが、太刀金具は常時在庫が十分と言う訳では無く、受注生産に近い形態に成るので価格も天と地程変わります。

 

 打刀を現在の拵の中心と考えて頂いて、金具代を別にしなければ成らない大きな理由は、メーカーや、素材によって価格が倍以上変わるので、一括りに出来なくなると言う事情が有ります。

 

 当店も当初は、1社のみの金具を使っていたので、セット商品が出来ましたが、現在は3社以上のメーカーの金具を扱うので、お客様の好みで金具代が大変変わる様に成りました。

 

 また、少し余裕のある方は、昔の名品の金具を持ち込まれたり、金工師さんに依頼して、オリジナルの鍔や縁頭を持ち込まれる方もいらっしゃいます。

 

 このような事から、金具は別料金に成らざるを得ないと思って頂けば良いと思います。

 

 更に、全体金額に大きな影響を与える物として、鞘の塗りが有ります。

 

 美術用刀剣の専門店で、拵もしてくれる所は、あまり基本料金は出さずに、「拵の相談承ります。」ていう風な書き方をされていることが多いと思います。

 

 こう言う所は、本当の本職の柄巻師や金工師、塗師といった人を使うので、高級寿司店の時価の感覚で考えてもらった方が良いかも知れません。

 

 鞘の塗は、現在では「カシュ―」と呼ばれる合成漆を使用するのが中心です、全て本漆でやると乾くのに時間がかかるのと天然素材の扱いの難しさも有ってかなり金額が跳ね上がります。

 

 カシュ―を使った一般的な拵でも、角笛、青貝チラシと言った特殊な塗り方をすると、工房に寄りますが、3万円以上の追加料金が必要に成ります。

 

 また、そこに鯉口金具やサメ巻きで補強すると更に万単位の金が追加に成ります。

 

 ちょっと長くなって私も疲れてきたので、少しまとめると、拵作成は基本的には、金具代は別料金であって、拵作成に要する金額を大きく左右する。

 

 また、鞘の塗りや、サメ巻きや藤巻といった鞘に関する工夫も、拵作成全体に大きな影響を及ぼします。

 

 それを理解した上で、自分の予算に応じて、良く打ち合わせて、最良の拵を作成しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

刀身に多少の薄錆や傷は在るものの、実用的には全く問題無いものです。

居合用に作ったと思われ、樋が深く片手で振ってもヒュンヒュンと良く鳴ります。

実質重視で選ぶなら価格を考えても悪くは無いと思います。

【健全な現代刀】「高塚正秀」70.0cm 、鑑賞に・居合・試斬刀として!!!