柄糸の巻き直しの依頼等の時に、「鍔も別のを送るので交換してください。」と言われるケースが、最近良くあります。
ただ、非常に安易に言われている方が最近多い気がします。
皆さんご存知の様に、鍔はハバキと柄と切羽に挟まれています。つまり入る厚みが決まっていると言う事です。
単純に鍔の真ん中の穴を広げたりすれば済むと言う訳には行きません。
現行の鍔より、変更する鍔が薄い場合は、当然その部分にガタツキが生じます。
しかし、この場合はまだ切羽を増やしたりして調整する余地が有ります。
しかし、鍔が現在の鍔より厚い場合、物理的に入る幅が決まっているので、入りません。
無理に入れようとすると、今度は、目釘の穴が微妙にずれて目釘が通りません。
また、大きな鍔を入れようとして、開いている穴が大きくて、責金(工房でちゃんとしてもらうと5千円程度は取られます)をしないと安定しない事も多いです。
特に、当店は時代の鍔より現代鍔を良く扱いますが、カタログでは同じサイズでも、実際の1点1点では、微妙な誤差が有るのが殆どです。
上手く行く事も有りますが、目釘穴の位置が0.1㎜外れると、目釘に無用の圧力がかかります。
これは、目釘の寿命を縮めますし、下手をすれば稽古中に目釘が折れる可能性も出て来ます。
なので、あまり安易に考えない方が良いと思います。
目釘が傷めば、ちゃんと自分で作れて、切羽の厚み調整や、鍔の責金(銅の正式なやり方で無くても大丈夫ですが)出来る人だけ考えた方が良いと思います。
安全なのは、鍔を交換するなら、柄も作り直しする方が間違いが無いと思います。
写真はいろんな荒も映し出しますが、実物は非常に力強く、刃紋のダイナミックなお刀です。
重量もたっぷりで、如何にも「豪刀」と言った感じの絵刀です。
斬るのはちょっと勿体無い気がしますが、かなり頑丈そうなオーラが溢れています。
試みに、見に来て頂けばこの質感は十分な価値が有ると思ってもらえると思います。