拵作成のお客様から、金具の材料について色々と聞かれることがあります。

 

 古い時代の金具であれば、鉄、真鍮,銀、銅、赤銅、臘銀等等、様々な,物が使われていました。

 

 それを職人さんが、1点1点丁寧に仕上げていきます。

 

 大変手間暇のかかったものが多いです。

 

 しかしながら、現代においても、そのような一点物の優れたものも作られていますが、多くが工場で大量生産されたものが中心となってしまいました。

 

 当店は、比較的安価な量産の金具を中心に扱う事で、より安価な実用品としての拵を作成していますので、この手の情報や成功例、失敗談も多くあります。

 

 現代金具は、材質についても、少しずつ変わって来ている気がします。

 

 縁頭については、真鍮がかなり幅を聞かせるようになったかと思います。

 

 わずかに、鉄地のものもありますが、ほとんどは、真鍮あるいは、価格は高いですが銀で作られているかと思います。

 

 真鍮の場合、真鍮をそのまま色上げして作って居るものも有りますし、真鍮にメッキ加工をして、金色や銀色あるいは黒などの色付けをして作られているものも多いと思います。

 

 銀の物も結構多いです。

 

 

 目貫も、真鍮か銀が殆どに成っていますが、最近は真鍮でもなく、「合金」と表示された物も増えてきました。

 

 

 鍔は、9割は鉄だと思いますが、わずかに、銅や真鍮の物も散見されます。

 

 お客様からは、色落ちに付いて聞かれる事が一番多いです。

 

 この先は、私の経験と、工作に送られてくるお刀を見ていて、私が感じた事ですので「絶対」とは言えませんが、

 

 参考程度に読んで頂ければと思います、

 

先程とは違い、あんまりどれでも構わないと思う方から説明していきます。

 

 

 先ず、鍔です。

 

(真鍮に薬品で色付けした物です)

 

(鉄の鍔です)

 

 どの材質でもあまり実用上の問題は無いかと思います。

 使う方の握りの位置によって、変わりますが、実用上、余り問題は無い様に思います。

 

 次に縁頭ですが、銀地が一番色落ちには強いと思いますが、鉄の場合は、小さな錆が、独特の味に成ってきます。

 

 意外かも知れませんが、真鍮にメッキの縁頭、メッキは簡単に剥がれません。

 

(真鍮に銀メッキの縁頭です)

 

(銀の縁頭です)

 

 私が使いだして、10年程の刀が普段の稽古に一番良く使われているにも関わらず、全く色落ちが有りません。

 

 恐らく、私が縁ギリギリを持つでもなく、頭を掌中に入れるでもない握り方をしている為かも知れませんが、10年程度は全く問題が無い様に思います。

 

 目貫は、手と擦れ合う時間が比較的長い為か、長年使うと、メッキが剥げて緑青が出てくる事が有ります。

 

(真鍮にメッキで作られた目貫です。)

 

(銀製の目貫)

 

 私が一番元気な頃に一番良く使った刀の目貫は、メッキがほぼ落ちてしまって、最近殆ど使用していないことも有り、メッキの無くなった辺りから緑青も出て来ました。

 

 安い居合刀の縁頭も長年使うと、やや緑青が出て来ますが、普段稽古後に少し吹いてあげるとかなり持つように思います。

 

 それと、最近の傾向として、原材料の価格の高騰が背景に有ると思いますが、銀でも無く、真鍮でも無く、銅でもない「合金」とだけ表示のある目貫がかなり増えてきました。

 

 普通に柄巻きの下に使う分には、真鍮製と大して変わらないのですが、片手巻きや、出鮫合口拵等に使用するのは、出来れば避けた方が良いかも知れません。

 

 何故なら、真鍮の目貫よりもやや強度が弱く、剥き出しにしていると変形した事例があったからです。

 

 職人さんからも、「出来れば、真鍮か銀にしてもらう方が長く持つので良い。」と言われています。

 

 柄巻きで締めあげてしまえは問題は無さそうですが、剥き出しにして使う場合は避けた方が良さそうです。

 

 参考に成りましたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2尺5寸強の豪刀です。

研ぎ澄まされてから、試斬もされていないので、見た目、斬れ味もなかなかの物です。

長身の方の居合刀として、一家の守護刀として、十分な貫録のお刀です。

長さ充分、迫力十分のお刀です。

【長寸・斬れ味良し】「無銘」76.0cm 、鑑賞に・居合・試斬刀として!!!