先日、ホームページから照会がありました。

 

 他店で、注文をされたお刀を研いだ所、鎬筋の上に、2カ所ほど鍛え傷が出たようです。

 

 ①それを、添え樋を入れて消すことはできないか?

 

 ②業者はそれで了解してほしいと言うがどう思いますか?

と言う2つの質問でした。

 

 これに対して、私は、「私は、鍛え傷は、大変大きく目立ったもの以外は、基本的に傷とは捉えていません。」「日本刀が古式製法によって作られた証であると考えています。」とお答えしました。

 

 近年の、日本刀を飾り物として、わずかな鍛え傷も許せないと言う風潮は、傷を出さないように気をつかうあまり、素延べ刀に手を出すような人を生み出す悪弊と思っています」と持論を述べた上で、

 

 ①添え樋を入れる事は物理的には可能です、しかし、新たな傷が出るリスクがあり、お勧めできないこと。

 

 ②「当店は、刀身に出た鍛え傷で、お客様とトラブルになったことがないので、実際にそうなってみないと何とも言えません」と答えました。

 

 その上で、精密溶接で肉盛りのできるメーカーをお知らせして、「肉盛りをした上で研ぎ直せばリクスリスクもなくきれいになると思います。」とそちらの方法をお勧めしました。

 

 当店は、基本的には美術刀剣の店ではないので、実用に差し支えない鍛え傷のある刀も平気で販売します。

 

 明治以前、刀が武士の魂であった時代は、鍛え傷は、傷とは見做されていないなかったと聞きます。

 

 全ての点に置いて、当店の考え方は、刀が武士の魂であった時代の気持ちで、刀に接したいと思考えています。

 

 当店では、お客様から特に希望のない限り、新作刀も、刃取りをして美術研磨を施すことをせず、差し込み仕上げてを基本としています。

 

 これもこのような考えに基づいているのです(お客様から美術鑑賞用として削除依頼を受けたときは、刃取りもして綺麗に作らせていただきますが)

 

 美術研ぎ、或いは化粧研ぎと言う形で呼ばれる研ぎの工程は、江戸時代にはありませんでした。

 

 刀が刀としての用をなさなくなった明治以降において考え出された技法です。

 

 それが全て悪いとは思いませんが、気持ちとしては、日本刀が日本刀であった時代の研ぎ方考え方を根本に据えてやっていきたいと思っています。

 

 当店は、常にそこを忘れず、運営していく所存です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練武刀池田美術モデルに、むニューバージョンが加わりました。

練武刀が、メーカーから発売された頃は、オプションは殆ど無かったので、愚直な実用一点張りの居合刀を、即納モデルとして設定しました。

あれから何年も経ち、練武刀にもいろんなオプションを加えられるように成ったことから、練武刀池田美術モデルのバージョンⅡを作ってみました。

刀身のベースは、あくまで真剣での稽古を視野に入れた、厚口の幅広刀身を採用、しかし、今回は、少し遊び心を入れて、刃紋を直刃から、三本杉の孫六兼元バージョンに変更。

柄巻きやサメの色使いも、少し華やかにしてみました。

勿論、行き過ぎると、使い難い道場も有ると思いましたので、派手過ぎない事にも心を砕いて、パーツを選び、料金アップと成るオプションを避ける形で、最大限個性を持たせてみました。

下緒は、全色、当店に在庫していますので、何時でも変更して出荷が出来ます。

なかなか、ありきたりでは無いけれど、目立ち過ぎないように工夫してみました。

一度手に取ってご確認下さい。

居合刀 練武刀 池田美術モデル 孫六仕様(入門者から高段者まで、十分使用可) (2尺3寸)