当店の場合、拵の注文が非常に多いです。

 常時5振りから10振り前後の拵の注文をいただいています。

 その時、偶に、問題点として浮き上がる事に、目釘穴の位置の問題があります。

 ちなみに、大刀の場合、もともと太刀として打たれた刀身は、目釘穴の位置が、刀として打たれた刀身に比べ茎の中央より、つまり鍔からやや遠い位置に開けられている場合が多いです。

 次の2つの写真は一般の刀として打たれた刀身の目釘穴の位置です。




 よくある感じだと思います。

 下の2枚は、太刀として打たれた刀身に、打ち刀の柄を付けた場合の目釘穴の位置を示しています。




 位置が少し違うことがご理解頂けるかと思います。

 大刀の場合は、これが、それ程大きく問題になる事は無いのですが、短刀の場合は、大変大きく問題になります。

 当初合口として作られた刀身に、鍔や縁頭をつけて、糸巻きに仕上げた場合、目釘穴とハバキの間の距離が短すぎて、目釘穴が柄糸に埋まってしまうことがあります。

 写真の短刀は、まだギリギリセーフで、大変薄い鍔を着けてはいるものの、細めの柄糸で何とか、目釘穴の位置を確保しています。

 これが、更に間隔が狭い場合は、かなり難しい仕事と成ります。

 以前お受けした短刀の時は、金具は、当店で販売している現代金具であったので、金具メーカーにお願いして、縁金自体の高さを削って薄くしてもらい、鍔も削って、通常の半分位の厚みに加工してもらいました。

 更に、柄糸を大変幅の細い物にして、やっと目釘穴の位置を確保しました。

 刀の茎を見ると、僅かな間隔で穴が二つ開いているものを見る事があると思いますが、それはこの様な、拵を変更する時に開け直したものが多いと思います。

 太刀と刀の場合は、開け直さず、そのままでも、写真のように、作成は可能ですが、短刀の場合は、かなり無理が生じます。

 現代では、目釘を開け直せば、登録証の書き換えが必要になる為、する方は滅多に居ないと思います。

 しかし、合口用の刀身に打ち刀風の拵を着けたがる方は、結構居られます。

 その、刀本来の想定されている拵にしてやる事は、刀に無用の加工をせずに済み、強度も十分に確保出来るので、そうしてやる事が、良い事だと思うのですが。

 人の好みは難しいですね。







 徳川家に仇なす「妖刀」伝説のイメージのある「村正」ですが、徳川家の元々の本拠地、三河に近い、伊勢桑名で作刀されていたので、たまたま、徳川家の大事に使用された偶然の産物と思います。
 刀の出来はなかなか良さそうです。

【妖刀】「村正」 67.3cm 、鑑賞に・拵を着けて居合・試斬刀として!!!