当店では、替鞘も取り扱いをしていますので、濃い口にひびの入ったようなお刀もよく見せていただきます。

あまり極端に鯉口がすり減ってもう割れるのを待つだけで、補修するにもあまりにもひどすぎる場合には、そのまま替鞘を作らせていただいていますが、そこまでは至らない様に、鞘を長く使うため、濃い口を占めるのはごく簡単な作業なので、一応紹介したいと思います。

必要なものは、経木、もしくは、それに代わる木の破片(ナイフで竹の割り箸などを削って作るのも問題ないと思います。

そして木工用ボンド。はさみ。基本的には必要なものはこれだけです。

経木を3センチ程度の長さに切り幅は濃い口の刃の当たる部分の幅に合わせて切ります。

次に、木工用ボンドをたっぷりとつけて、それを濃い口の端のほうに貼り付けるだけです。

この時に、割り箸か何か鞘の内側に入るものでしっかりと押さえつけて、そのまま1時間も放置すれば(当然接着面を下にして乾かしてください)それで完成です。

ものの5分程度でできる作業です。

そして、緩んだら、この作業を繰り返していれば、安物の替鞘や居合刀の鞘を流用しても、かなり長期間使用ができます。

こんな簡単なものは、ご承知の方も多いとは思うのですが、抜き付に慣れないうちは、どうしても鯉口を少しずつ切っていってしまうことが多いです。

そして、鯉口を切るのが一定を超えると、いきなり「バキッ」と鞘が割れてしまうことがあります。

そうすると、指を落としかねない大きな怪我につながります。

また、濃い口が緩んでいると、何かの拍子に下を向いたときに刀が鞘から飛び出してそれを止めようとして、一瞬刀を握ってしまって、これも指を落としかねない大きな怪我になることがあります。

なので、濃い口については、ややきつくて刀身が完全に収まりきらない位でもいいと思っています。

稽古する内にすり減りますから。

ただ、ちょっとした補修で安全に稽古出来、鞘も長持ちするのですから、まめにチェックして、補修してください。

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じです。すぐ終わりますよ。

 

池田美術 替鞘