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節季師走には猫の手も借りたい

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伊達!
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牛タン!
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ずんだ!
とくれば仙台なわけだが
出張以来ひと月振りにこの地を訪れた
今回は仕事ではなく集金に…
滞在中はいけ好かなかったクライアントだが
プライベート的に接してみるとそんなに悪い奴でもなかった
二ヶ月もその地にいて名所を一切見ていなかった俺を哀れむように
見送りがてら観光地巡りをしてくれたのだ
青葉城跡、鳳鳴四十八滝
クリネックススタジアム、牛タン利久、仙台港
俺は東京都でも指折りの出不精だが、いざ出かけるとなると張り切るし
見かけによらず観光好きなのでどれも純粋に楽しめた
同伴者が年齢不詳のキャリアウーマンではなく
かわいいギャルや美形のお姉さまや愛しい彼女だったら
もっと楽しかったなとゆう悔いは残ったが、しっかり思い出も残した
たまたまその日がかの有名なヒカリのページェントの
初日だったとゆうのもかなりプラスポイントだ
あまりに仕事がつまらなかった為
若干トラウマがあったのだが、少しだけ仙台が好きになった
いつか純粋に旅行するのも悪くない

さて…暮れも押し迫った最近はと言えば
ただただ殺人的に忙しい、働くことが死ぬことより嫌いなので
許されるならいっそ死んでしまいたいと思うのだが
諸々事情もあるのでそうもいかず、神経と毛髪をすり減らしながら
なんとか息を吐いている次第だ
そんな最中、ひさびさの息抜きに心許す先輩の家に
遊びとゆう名目で愚痴をこぼしに訪れた
久々の親戚に会うと決まって言われた大きくなったな
とゆう常套句を先輩の息子タイガに見事に放ち
改めて老いを実感していると
奥さんが手料理を準備してくれた
中、高、大学とフェリス女学院で過ごしたお嬢様は
さすがにセレブリティーで
ピンクの花をあしらった上品な絵皿に
できたてのごはんをのせ、色付けにゴマをふりかけて
アロマキャンドルが揺れるテーブルに並べてくれた
おかずのロールキャベツは同じデザインの深い皿に盛られ
たっぷりかけられたトマトソースに
ピンクの花びらが浮かんでいるようだった
まるでヨーロッパの王宮の晩餐に招かれたような華やかさに
ホーッとため息がもれ
自分が持って来た場違いな缶ビールにも
ハーッと深くため息を吹きかけた
こんなにロマンチックな食卓は生まれてはじめてだった
会食やパーティーのときに
おしゃれなレストランで美しく飾られた料理を食べる機会はあったけれど
一般の家庭で、それも東京23区内のマンションで
優雅にフォークとナイフを使いながらディナーを頂くなんて夢にも思わず
感情の薄い俺が珍しく受けたカルチャーショックだった
俺は瞳を潤ませ、食事の間しきりに
「すごいっすよね、オシャレですね、ステキですね
西洋人と結婚したらこういう食卓になるんですかね
となりに青い目の子供がいて、上手にフォークの背にごはん
てゆうかライスをのせて口に運んで
スープ皿も奥のほうにかたむけスプーンですくって
かっこいいっすよね」
と感動を伝え続けていたのだった
こんなにすばらしい体験をしたのだから
家でも試したくなるのが人の性だ
実は料理は嫌いではない為
俺はさっそく、新宿区四谷のマンションで
ヨーロッパの晩餐を再現するべく準備にとりかかった
テーブルがないからお膳にクロスを掛けてみる
床からの距離が少し近いだけで充分にヨーロピアンな雰囲気がでる
となりの和室の障子だってオリエンタルな家具を輸入したのだと思えばいいし
座イスだって角度を変えれば立派なオブジェで
要は気の持ちようだ
そして炊きたてのごはんをりんごの絵とローマ字の書かれた皿に盛る
先輩の奥さんと同じようにゴマもかけた
ところがどうも様子が違う
おもちゃっぽいとゆうかままごとみたいとゆうか重みや深みが全くない
「りんごの絵皿がカジュアルすぎるからチープな感じになるんだな」
と俺は鋭くひとりごとを言い、別の皿に移し変えることにした
けれどもせつなくも身軽な男の一人暮らし
しかも山崎パンのシールを集めてもらった白いお皿が
最高におしゃれだった下町庶民の石井家に育った俺が
クールな洋皿を持ち合わせているはずがない
苦肉の策で、結婚式の引き出物に貰った
ディオールの白いカップ&ソーサーのソーサーに
ごはんを盛ったのだが、こぢんまりとしたありさまが
仏壇に供えるごはんのようで
えらくバチあたりなことをしでかした気分に陥った
当然のようにロマンチックな食卓になるだろうと思い込んでいたのだが
すっかり気持ちも萎え、食欲も半減し
かくして夢のような晩餐は、本当に夢に終わった

想像もできないけれどいつか家庭が作れたら
料理好きでハイセンスな奥さんと
優美でロマンチックな食卓を囲みたいと思う
そんな憧れを持つ俺の今夜のディナーが
たこ焼きと生ビールだったってことは
ここだけの話にしといてほしい