クリスマスイヴの予定なんて片栗にはありません。
しかも最悪明日もしかしたらバイトかもしれないという。
キャー。

でもでも、今日は夜にお友達に会います。
ほんの少しの間だけだけども。
あ、友達は女の子ですよ。
男の子が会ってくれるワケないっていう悲しい現実……

まぁ私モテない方なんで仕方ないんですが。


だ・け・ど・ね!?


今日はプレステ2とアビスがやってくるの~!
あっは♪給料日より早く着ちゃうや☆


あと、明日は数少ない片栗のお友達さまとクリスマスパーティなのですよ!
…本音言うと男の子と過ごしたいなぁ~…(コラ
でもこんな寂しい身の片栗に声を掛けてくれるので!
参加したいと思います。


ついでに、クリスマス記念にまた番外編書こうかと。
最近本編が女王側よりなので、番外編はアリス側にしようと思ってます。
そろそろ場面が変わってくるので、また登場人物紹介を改めてしないと話がわかりづらくなってしまうという罠。

読んで下さってる方々、いつもありがとうございます。
もし表現でわかりづらい部分がお気軽にコメントでもなんでもじゃんじゃんしちゃって下さい!
↑批評していただきたいという欲。
ツバキ


モデルが私なのも忘れて描いてしまった。
美化という事で!
普段は毛皮でモコモコした、いかにも王様が纏っていそうなコートを身に纏っているそうです。
頑張ってドレスデザインしていたのに…!

パサ………パサ………


「……もう、やめにしないか…?」


重く息を込めて女王が口を開いた。


「…どうして?」


アララギはそれを問い返す。


「どうしてって……こんなの………」


すると女王はふと視線を落とした。


「もう………飽きた」

「あれ、そうですか」


するとアララギは手に持っていた最後の1枚をテーブルに放る。
すると女王もそれに倣った。
女王の手札は2枚。
そのひとつには、ジョーカーの姿。


「さっきから負けてばかりだ」

「普段女王こういうのしませんもんね」

「ふぅ………長いな」

「3時間が、ですか?」

「………」


トランプをしまいながらアララギが聞く。
女王はそっぽ—おそらく『クマさんの森』の方向を—を向いたまま冷めた紅茶を飲んでいた。
女王はそれには答えなかったが、おそらくそうなのだろう。
飲み干したカップを受け皿に置く。


「もう冷えちゃってるかもしれないですけど、いります?」

「いる」

「はい」


ファーコートの毛をフワフワといじりながら、女王はまだそっぽを見ていた。
紅茶を淹れ終えると、アララギは提案する。


「散歩でもします?」

「ん~……そうだな、少し回ろうか」


カタン、と席を立つと、女王は入れられたカップを持って一気にぐいっと喉に流し込んだ。




向かってくる熊の攻撃を紙一重で躱すと、イブキはコダチから離れた。
熊ともある程度距離を取った所で、熊を見たままコダチに声を掛ける。


「一応聞いとくけど。どうする、このままだとアリスに近づけないぞ」

「言わなくてもわかるでしょう?そのままその熊を引きつけてて下さい」

「わかった」

(……でもこの熊動き早ぇんだよな…)


コダチが動いた事に反応して熊がコダチの方へ身体を向けた所でイブキは熊の足下に発砲した。
熊はコダチからまた視線をイブキに戻す。


「グゥゥゥゥ…」


唸る熊の目の前で、今度はわざと少女の眠っている木の幹に向かって撃つ。
すると赤良様に熊の様子が変わった。


「グアアアアァアアアアアアアァァァァ!!!!!!」


地面に太い腕をついてイブキに向かって突進してくる。
イブキは完全に標的が自分に移っている事を確認すると森の中に熊を連れ出す。
ドンッドンッと大きく地鳴らせて熊はイブキを追い駆け森へと姿を消す。


(…よし、ちゃんとついてきてるな)


後方を確認しながらイブキは少しずつコダチと少女から熊を遠ざけていた。
熊は巨体を揺らし、木を倒しながらイブキを追っている。

その間にコダチは少女の前に立ち、眠るその少女に触れようとした。
すると、少女が横たわる穴の中に手が入った瞬間、突然高音が大きく響いた。

その音はイブキたちの下にも届いた。
すると突然、今までイブキを追い駆けていた熊が方向転換をした。


「!?」


イブキは急いで熊を追いかける。


(何だ突然…!あの音…)




「………結界ですか…」


コダチは自分の手を見た。
コダチの右手はプルプルと震えていた。
先程少女が眠っている穴に手を入れようとした時、強い電気の様なモノが走り、手が弾かれたのだ。
その所為でコダチの手は痺れてしまったが、しかしコダチはフッと口端を上げた。


「小癪ですよ、そんなもの」


コダチはそう言うと再び手を伸ばした。
バチバチと電気が走るが、コダチはそれにも構わず腕を進める。
そしてやっと少女に指先が触れた所で、咆哮が響いた。


「グゥゥゥアアアアアアアァァァァァッッッッッ!!!!」

「!」


熊が牙を剥いてコダチに襲い掛かる。
コダチは腕を引いて熊の攻撃を回避した。

すると後からイブキが現れる。
コダチは不機嫌な声でイブキに言った。


「引きつけてて下さいって言いましたよね?」

「音がした途端に急に方向転換されたんだ」

「……はぁ…」


コダチは溜息を吐く。
ふりだしに戻ってしまった。


「でも何でこの熊、アレを護ってるんだ?」

「グゥゥ…ガァア!!」

「……どうやら、あのアリスとお友達みたいですよ。『俺の友達に手を出すヤツは許さない!』って仰ってます」

「わかんのかよお前」

「魔法使いですから」

(………理由になってんのか…?それ…)

「ちょっと交渉してみましょうか」


するとコダチは低くしていた姿勢を戻し、熊に話しかける。


「私達は女王の使いの者です。アナタのお友達に用があります。どうか少しの間彼女を貸して頂けませんか?」

「…ヴヴヴゥゥゥゥ…」

「とても大切な用事です。彼女に危害は加えません、お願いします」

「……グゥ。…ウ」

「何でしょう?」

「グア」

「…ああ、構いませんよ。いいですよね?」

「何が。俺はお前らが何の会話してんのかわかんねぇんだよ!」

「とおりあえず、あの少女を借りる事は出来ることになりました。ただ、その代わりにアナタを人質にとるようです」

「俺?」


コダチは深く頷いた。


「『お前は俺の友達を連れていく。ならお前もお前の友達をココに置いていけ』と。もし少女に危害を加えたら、その代価としてアナタにも危害を加える…と、まぁそういう事ですね」

「俺はお前の友達じゃない」

「私だってアナタの事友達だとなんか思ってませんよ。これも仕事です。此処に残っていて下さい」

「…ちょっと待て」


何かイヤな予感がするので、イブキは1度コダチに確認を取る事にした。


「俺達が此処にいる目的は、そもそも偽アリスの調査と処理だろ?」

「そうですね」

「だったら、その偽アリスは殺すんだろ?」

「ええ、ハイ」

「で、アイツに危害が及んだら俺にも同じ事されるんだろ?あの熊に」

「そうなりますね」

「………」


一発殴ってもいいだろうか。
その道理で行くと結果自分は殺される事になるではないか。
イブキは怪訝な顔でコダチを見る。
しかしコダチは至って平然とした様子で、寧ろ微笑んでみせた。


「大丈夫ですよ、その時はその時です」

「オイ」

「それにアナタなら、例え死んでしまったり瀕死の状態に陥ったとしても、女王が何とかして助けてくれますよ」

「そういう問題じゃない」

「と言うワケで、残ってて下さいね。ちゃんと仲良くするんですよ~」

「話しを聞け!!」


抗議するイブキを無視して、コダチは眠ったままの少女を抱いて森へと消えていった。
残された熊とイブキ。


「………チッ」

「グゥゥゥ」

「何だよ」

「グゥゥゥ」

「………」

「グゥゥゥ」

「何言ってんのか全然わかんねぇよ」

「ガッ!」


すると突然熊が土をイブキに掛けた。
急に土を掛けられたイブキはそれを払いながら怒り始める。


「ちょっ、何すんだコラ!服が汚れただろうが!!」

「ンガッ!」


しかし怒るイブキを気にもかけず熊はまたも土を掛ける。
苛ついたイブキは負けじと自分も土を掴んで熊に掛ける。


「掛けんなっつってんだろうが!!」

「ガゥ!」

「やんのかオラ!!」

「ヴヴヴヴゥゥゥゥ!!」




一方、森の中。
イブキたちから少し離れた所までコダチは来ていた。
抱き抱えたままの少女を地面に置き、跪いてその少女に手を伸ばす。
この少女の心臓を抜いてさえしまえばそれで仕事は終わり。
外傷さえ残さなければすぐにはこの少女が死んでいる事は気付かれないだろう。
コダチの手に魔方陣が展開される。

その手が少女の胸に触れる直前、少女が目を覚ました。
少女は驚くでも寝惚けるでもなく、笑みを浮かべて手を差し出す。
すると少女の爪が伸び、コダチの首を貫いた。


「ッッ……」

「ウフフフフ……」


少女は愉快そうに笑った。
しかし、眼前のコダチの手から魔方陣が消える事はなかった。
それどころか、首を貫いたはずのコダチはフッと微笑んで見せた。
その目は酷く冷たい色を宿していた。

少女が異変を感じた直後、ドスッという音がした。
少女の胸には、コダチの腕。
ズッ…グチュッと、粘膜の擦れる音がして、コダチが腕を引き抜くと、その手には緑色の結晶があった。
するとコダチの首を貫いていた爪が戻り、少女の手が地面に落ちる。
少女の胸には腕を入れた後などは残っていなかった。
少女の目を閉じさせると、コダチは自分の喉を擦る。


「ふぅ、痛いじゃないですか」


コダチが首から手を離すと、そこにはもう何の外傷もなかった。
手の中の結晶を懐にしまう。


「…クスッ、もう聞こえてませんよね」


そして来た時と同じように少女を抱き上げ、もと来た道を戻って行った。