秋の日帰りお天気旅行(5)
前回の記事までは「気象測器の歴史」に触れ、
いわば気象観測の「原点」を紹介しました。
で、こちらも別の意味での「原点」。
測器センターの重要な業務のご紹介です。
測器センターは正式名称「気象測器検定試験センター」。
つまり、観測機を検定して試験する所、なんです。
民間のものは気象業務支援センターに委託して、
気象庁部内のものは測器センターで自ら、
新しい測器の検定や故障した測器の修理などを行っています。
(もともとの名称が「測器工場」ですから、工場の雰囲気が漂っています)
こちらは雨量計の点検のようす。
10分間に○○ミリ、という正確に用意された水を雨量計に落とし、
ちゃんとその雨量を計測するか、入念にチェックが入ります。
壊れた測器や移設・廃止された観測所の測器も届くということで、
こんなふうに新品の風向風速計が、
「予備」として陳列されていました。
※測器の入れ替え(移設)については、
ウェザーマップの仲間の岡村真美子さん が以前記事にされていました。
詳しくは、コチラ をご参照くださいね。(チーム森田の天気で斬る!)
すべての測器がここを通る、ということで、
日本の気象観測の原点がここにある、と言ってもいいと思います。
気温計や気圧計の基準(気象庁準器)もここにあるんですって。
さて、同じ庁舎に入っている「高層気象台」。
こちらもとても勉強になりました。
ふつうの気象台とほぼ同じように、日中は有人気象観測を行っています。
アメダスでは「つくば」という地名(24時間)、
測器センターの試験中の測器も一緒に並んでいて、
どれがアメダス用の測器なのかワケわからんかも…
周りに高い建物もなくて風も遮られず、
道路も遠くて気温にも影響なし!
全国でも1、2を争う最良の観測環境だと思います。
(そういえば、10月13日だというのにツクツクボウシも鳴いていました)
で、実際に観測されたデータはリアルタイムで
気象庁に送られ、全国に発信される、というわけですね。
今回、ラジオゾンデ(気球による高層観測)は
毎日08時30分と20時30分なので見られませんでしたが、
ほかにもいろいろ見せてもらいました。
赤外線を測る機械だったり、
大気中のチリを測る機械だったり…。
測器センターで歴史的な測器を見た後だけに、
「ハイテク」を感じることが多いのが高層気象台でした。
「高層」なだけに、
大気中のオゾンの量を測る機械もありました。
高層気象台はアジアの高層観測の拠点になるべく、
非常に高いレベルの技術を持ち、観測をしているそうです。
ふつうの気象台の観測もカッコイイですが、
こうした専門的な観測もまたイイなぁ、なんて思いました。
以上で、長々と書いてしまった、オタク心をくすぐられた見学記は終わり、です。
日本の気象観測の歴史や最新の技術まで、広く深く(!)書いてしまいましたが、
こうした技術に、天気予報や防災情報、地球環境の情報は支えられているんだな、
なんて思っていただけたら嬉しいです。
お天気オタクでなくても十分分かりやすく勉強できます。
「科学技術週間」など、機会があったらぜひ皆さんも足を運んでみてくださいね!!
そして、この場を借りて、お忙しいなか各施設の見学で案内してくださった
気象庁職員のみなさまに厚く御礼申し上げます。
特に、見学の手配をしてくださった研究所のIさん、本当に本当にありがとうございました!!





