はやぶさプロジェクト | 片桐あきひろオフィシャルブログ

はやぶさプロジェクト

「はやぶさプロジェクト」では惑星探査機「はやぶさ」が半年間、行方不明になりました。

半年後、「はやぶさ」からの信号を受信したことは「奇跡」だと伝えられていますが、実はそうではなかったと聴きました。

 

当時、「はやぶさ」からの信号受信は「奇跡」ではなく「いずれ信号を受信できる時が訪れると諦めずに粘った」ことが内心だったようです。

つまり「ロストしてしまったはやぶさですが、どこかのタイミングで太陽からの光を受けて電源を回復させることになるので、いずれ信号を発信するはずだ。だから待つことにしよう。但し、どれだけ待つことになるのかは分からないので、信号を受信した時、即座に追跡とコントロールに対応できるよう準備を整えておこう」と考えて指示していたことが「奇跡」を呼び起こしたのです。

 

この「待ち続けること」「粘り続けること」はなかなかできないことだそうです。

これがNASAであれば「待つことなく、探索を止めてしまっていただろう」ということです。

 

日本の技術者、もしかしたら「粘り強い」ことは日本人の特性かもしれません。

ロストしてしまい、いつ機能が回復するのかも分からない「はやぶさ」を半年間も待ち続けること。

しかも可能性を信じて必要な準備態勢を整えていたプロジェクトチームの粘り強さを感じます。

「はやふさ」の物語は日本人の特性があったからこそ、日本中を沸かせて感動させたのです。

 

「はやぶさ」の感動のお陰で日本は一気に宇宙がブームとなり、宇宙への関心が高まっていったのです。

和歌山県でも「宇宙に最も近い和歌山県」を浸透させるための「宇宙に関する講演会」開催や「宇宙教育」を実践するための教師による「JAXAスペースティーチャーズ和歌山」の結成などを実現しました。

「宇宙に最も近い和歌山県」と「宇宙教育」は和歌山県が誇れる先進性に富んだ取り組みであり、現在に至っているものです。

 

ところが「はやぶさ」が奇跡の生還を果たし、日本中が感動した当時、和歌山県内の教育委員会から要請を受けて「宇宙に関する講演会」を担当した池下先生は学校で講演をした時に「感じたことがある」と話してくれました。

 

それは「当時講演会に参加した高校生は宇宙に関心が少なかったように感じました。『はやぶさ』のことを知っていますかと質問したのですが、知っていると答えた生徒はほとんどいなかったのです」ということです。

 

それは県内で「JAXAスペースティーチャーズ和歌山」の教師を中心に「宇宙教育」を実践し始めた時期だと思うのですが、「宇宙教育を通じて宇宙への関心が高まったと思っていたのですが、高校によって温度差があった」ということです。

全県下に浸透させることができていなかったと思うと、「再び、全県下で宇宙教育を浸透させなければ」と思いました。

 

池下先生は「宇宙技術はロケットを飛ばすだけではありません。わが国の経済にも影響しますし、宇宙開発は今では安全保障にも深く関係しています。もちろん教育でも大事な分野になっています」と話してくれました。

 

僕も「和歌山県にとって宇宙は県土発展のための重要なキーワードです。残念なことに和歌山県発展のためのキーワードは少ないのです。本来であればハイテク産業、情報産業、新エネルギー産業、統合型リゾートなどもキーワードになるべきですが、今、可能性として残っているキーワードは宇宙だけです。その土台となるものが宇宙教育なのです。今一度、見直しを図りたいと考えています」と答えました。

 

管理と現場の意思疎通の乖離、現場を見なければ実態は分からないという基本に立ち返りたいと思います。