地域医療 | 片桐あきひろオフィシャルブログ

地域医療

地域医療を担当している皆さんと「コロナ禍明けと物価高の中での運営」などの話し合いを行いました。

病院の診療費は物価が上昇したとしても円安の影響を受けていると言っても国が決めた点数があるため医療費を値上げすることはできないようです。

つまり私たちにとって大事な医療は、物価や円安の影響を受けないしくみになっているのです。

 

ところが薬や医療に必要なものの価格が上昇していることから、経費が増加して経営を圧迫しているようなのです。

中でも先進医療に必要な薬は輸入品が多いので、円安の影響を大きく受けて経費負担につながっています。

病院の規模によっては数億円の負担増になっているので、令和5年度は単年度赤字の病院が増えることが予想されています。

 

むしろコロナ禍の時は国からの支援制度があったので、「大変でしたが経営面では黒字になりました」ということです。

現在の円安と物価高の影響の方が、病院経営面では深刻な事態に陥っています。

 

病院は患者さんが絶えないことや、高齢化で医療受診の機会が増えているので、むしろ安定していると思っていましたが全く違っていました。

診療収入は変わらないけれど経費負担が増えているので利益が減少している。

更に言うなら患者さんが増えると経費負担が増えるため、経営面では厳しくなっている状態になっています。

円安と物価高に苦しんでいるのは病院も同じだったのです。

 

そして物価上昇に見合うように病院の職員さんの給与も増やす必要があるので、令和6年度からは人件費が増えることになります。

物価上昇に見合った給与は上げる必要があると思っていますが、それが病院にとっては経費負担増となり、さらに経営圧迫することになるのです。

 

企業では経費が増えるとコスト削減と売り上げを増やすために価格改定をすることになりますが、病院の場合はコスト削減だけが対策となります。

ここに経営面での苦しさがあり、和歌山県のような地方都市では地域医療を維持するために、赤字が続いても将来に亘って運営する必要があります。

 

ただし巨額の赤字が続くことになると「果たして将来とも存続できるのか」と思わざるを得ません。

和歌山県の高齢化の状況から考えると、地域医療を守ることは福祉保健行政としては必須であり、特に地域の病院を存続させるための対策を考えなければなりません。

 

地域にある病院は言うまでもなく地域医療の拠点であり、存続のためには経営の黒字化は当然のことです。

患者さんの負担を増やさずに病院経営を安定させることの両立を図るためにはどうすべきか、話を聞くととても難しい課題であることが分かりました。

 

このまま円安傾向が続くと、ますます先端医療の病院の経営は厳しくなっていきます。

先端医療の必要な薬や医療機器は国内で製造することや、円安を是正する金融政策も必要かもしれません。

日本の医療技術は世界一だと思いますが、先端医療の機器と薬は外国製に頼っている現場の状況を聞いて、宇宙やロボット、半導体やAIなどの先端技術と同じように日本は後れを取っていることが分かりました。

 

先端技術のキャッチアップと金融政策の問題なので和歌山県ではどうすることもできませんが、国は地方の課題を分かっているはずなので、地方からのこれまでの提言や意見を聞き届けて欲しいと思います。

 

現場で医療に従事してくれている医師、看護師、事務職員の皆さんの、私たちの命と健康を守るための献身的な取り組みに深く感謝しています。