エッチをして気持ちよくなれば、結局イライラなんてどうでもよくなる。
その後は満たされたまま熟睡して、起きておやつを食べ、またエッチする。
カオルは二回目もイキ、脱力する。



私ってやっぱりエッチができれば、誰でも良いのかな?
性格が合うとか、愛情深いとか、それより何より体の相性良くて、エッチが気持ち良ければそれで良いのかもなぁ。



まーさんと過去の恋愛話をしたり、東京タワーのドラマの話をしたりして、お互いの価値観を探る。
だんだん黙っている時間が長くなってきて、こなれてきている。
長年連れ添ったカップルみたいになっていて、新鮮味がなくなってきている。



かといって、問題が起こってほしい訳でも、遠距離恋愛とか障害がほしい訳でもない。
ただ、こうして過ごすのが当たり前になってきている。
ありがたいし嬉しいし幸せなんだけど、その感覚をふと忘れてしまいそうになる。



永遠にこの時間が続くかのような、怠惰な感覚。
きっと本当は一瞬の輝いた時間のはずなのに。
前回あまり引っ付かなかったのが哀しかった、というカオルの意見を汲んで、まーさんはちゃんと腕枕をして抱きしめてくれる。



何か言ったら、改善してくれようという前向きな姿勢はあるのだ。
多分一生懸命、カオルに合わせてくれている。
お互いにちょうど良い関係性だよね、と話しつつ。
遊びではないけど、真剣になりすぎない、その間をたゆたっている。



そう、この程よい心地良い関係性は、お互いの均衡が保てているからこそ。
カオルが過去に「駆け落ちしようとしたこともある」と打ち明けると、「相手が情熱的だと、カオルさんも危うくなるんだね」と、驚くまーさん。



そう、今はもうそんなこと思いはしないけど、相手次第で、どうなるかわからない。
そんな恋愛をしてきたカオルには、今のこの状況はぬるま湯に浸かっているような感じだ。
穏やかに安らかにいられる。



別れ間際にもう一度エッチをする。
暑い車内で汗ばみながら、お互いの体を確認する。
ああ、家に帰ったら夫がいるんだなぁ、どんな顔したら良いかしら、、、
今日は一気に現実に引き戻されるカオルだった。