まーさんは寝息を立てて、いくらカオルが体勢を変えても起きる気配がない。
「まーさん」と声かけても、「なに?」と冷たくあしらわれる。
はぁ、楽しくない。
眠れないカオルは、外に散歩に出ようかな、とかケータイでも見てようかな、とか気分転換の方法を考える。
でも今まーさんから離れるのも、なんか良くないような気がする。
悶々と思考がこんがらがっていく。
ああ、どうして私はこんなに相手の心情を察知してしまうのだろう?
HSPだからか?
こういう時は鈍感な人が羨ましい。
こんな態度を目の前で取られても、何も気にせずに自分の時間を過ごせる人でありたい、、
私みたいに敏感に相手のことを察知する人と、私は一緒にいたくない。
だって察知されて気を遣われるのも疲れるし、顔色伺われるのもイラッとするし。
過去に関わってきた男たちは皆、そういう空気には鈍感で助かった。
そして相手にモヤっとすると、いつも夫と比べてしまう。
我が夫は、こういう態度をとるだろうか??
夫は機嫌や気分が安定していて、一人になりたい、みたいな態度をとることはない。
疲れている時はひたすら寝てるから、そういう時は放っておいてるけど。
それでもカオルが引っ付いていけば、それを拒否することはない。
体が触れ合うことでお互い安心するから。
夫の方がスキンシップをとりたがるから。
けど、それも一緒に暮らしてるからなんだよなぁ。
一緒に長年暮らしてると、疲れていそうな時や機嫌悪そうな時は、自分も別の部屋にいて相手を放っておける。
夫とはそういう環境にいたから、あまり気にならなかったのかも。
でも今はひとつ車の中だし、婚外恋愛のカップルだし。
せっかく限りある時間を過ごしているのに、こんな別々の心でいると、意味あるのかな?と思ってしまう。
もう帰ろうかな?
でもまだ14時だよ、早いよなぁ、、、
どんなに思考転換しても、ネガティブな方向へ向かってしまう。
こんな時、いかに自分がウジウジネチネチと思い悩むたちであるかを実感してしまう。
小さなことですぐに不安に駆られて、どんどんその思考を大きくしてしまう。
あー、イヤだイヤだ。
こんなことばかり考えてると、引き寄せちゃうよ、不安が現実化してしまうよ。
あー、気分転換したい!
熟睡から覚めて意識が戻ってきたまーさんに、お手洗いに行きたい、と声かけて空気を変えるカオル。