車に戻り、引っ付いて横たわる。
夕暮れが近づいてくる。
何となく何かを言いたげなまーさんが、「もしもオレの仕事が土日休みになっても、カオルさん会える?」と問うてくる。
「うーん、どうにか会えるようにはするけど、平日の夜に会うこともできるでしょ?」
「うーーーん、平日の夜というよりは、土日かなぁ」
「何で?仕事変えるの?土日休みになるの?」
「いや、まぁすぐにじゃないけど。もしもの話として、オレが土日休みでも会えるのかなぁと思って、、、」
何やら歯切れの悪い切り出し方。
引っかかって話を掘り下げていくと、三年弱で集中して工場で働く求人に、興味があるらしい。
寮がついて福利厚生がしっかりしていて、給料がかなり良いらしいのだ。
ここからかなり離れた県だが、週に一度帰ってくれば会えるから、と言う。
「えっ!遠距離になるってこと?」
「でも週に一度は帰ってきて会えるし、今と同じペースだよ」
「でも遠いよ!前の遠距離彼女の二の舞になるじゃん!前の彼女よりも離れちゃうんだよ。そんなの面倒くさくなるに決まってるよ!」
カオルが声を荒げて涙を流すと、「前とは違うよ。カオルさんとは離れる気ないもん。ずっと一緒だよ。週に一度は絶対に会いにくるから」と、宥めるように諭すまーさん。
そんな訳ない。
隣の県の元カノとさえ自然消滅したのに、幾つも離れた県で続く訳がない。
きっと元カノとだって、今と同じような離れ方をしたはずだ。
最初はちゃんと会いに行くから、と言って。
そしてそれが段々と遠のいていったのだ。
週に一度が二週間に一度、そして月に一度となり、何ヶ月かに一度となっていて、別れに至る。
そしてまーさんは出会い系で、近場のカオルと知り合ったのだから。
同じ展開になるに決まっている。
「そんな同じ鉄は二度踏まないよ!」
と強気で主張するまーさんだが、同じ流れになる要素しかない。
最近馴れ合ってきて少しマンネリ化してきたからかな。
まーさんも何年も同じ仕事してきて、変化を求めているみたいだし。
この変化は避けられないんだろうなぁ。
半ば諦め気味のカオル。
まーさんもカオルも数秘5番で、変化と自由を求める気質だから、その気持ちはよくわかるのだ。
魂が変化変容を求めてしまう。
どうしたってその流れには逆らえない。
安定したい、安心したい、と思いつつも、魂は新しい挑戦や変化を求めてしまうのだ。