毎週恒例のまーさんとのデート。
前回約束した通り、引越し先のアパートまで迎えに来てくれる。
なんやかんやで優しいまーさん。
カオルは楽ちんでありがたい。
越して来た周辺のお店情報を調べていたので、弁当とスイーツをテイクアウトする。
海沿いの緑地帯の木陰に車を停め、お昼ご飯を食べて、散歩する。
珍しくまーさんから散歩を提案してくる。
カオルが手を出すと、素直に繋いでくる。
河口沿いをのんびり歩き、腹ごなしする。
日差しが強くなってきたので、屋根のある駐車場を求めていく。
日陰でしばしの休憩。
お互いの体を求め合い、ひとつになる。
そして爆睡。
体を動かした後の睡眠は、深く意識もなくなる。
「カオルさん熟睡してたね」
と、まーさんにも気付かれる。
涎垂らしてたのバレたかしら。
「どこか自然がある所に散歩しに行こう」
と、またまた珍しくまーさんが誘ってくる。
「じゃあホタルの里の下見に行こうよ」
と提案するカオル。
山手を少し登ったところに、ホタルが見れそうな場所があるという情報は入手していたのだ。
小高い山を登ると小川のせせらぎと共に、ホタルの里の幟が現れる。
来月にはホタルが飛ぶのだろうか。
透明度の高い緩やかな流れのその小川沿いを、手を繋いで歩く。
民家も疎らで道行く人も誰もいない、長閑な山の風景。
今まで住んでいた所とは、同じ市内とは思えないほどの、自然豊かさだ。
「まーさんも私も勤務地が街中だから、自然がある所に行きたくなるのかな?」
「そうかもしれないね。休みの日は自然に囲まれたくなるね」
まーさんはそう言いながら、緑と土の匂いを吸い込んでいた。
前回も仕事でストレスあるって言っていたし、お疲れ気味なんだろうなぁ。
カオルのいる県は都会ではなく、昔はそれが嫌だったが、今は自然が溢れるこの県に住んでいて良かったなぁと思うのだ。
街中はそれなりにビルや建物ばかりで、植物は少ない。
だから休日は、山や海を見たくなる。