「そういえば、誕生日のアクセサリー何か良いの見つけた?」
まーさんに聞かれ、ネットで探しておいた情報をLINEで送るカオル。
まーさんも一応ネットで見たけど、難しくてよくわからなかったらしい。
一通り見て、これが大人っぽくてシンプルで可愛いね、と決めてくれるまーさん。
前向きに選んでくれるその姿勢が嬉しい。
だからカオルも伝える。
「好きな人からのプレゼントだから、いつも身に付けていられるアクセサリーが良いんだよ。手作りのお菓子だって、好きな人だから食べてほしいって思うんだよ」
そのダメ押しの一言で、まーさんはだいぶ満足したようで。
「うん、それはそうかなって感じてたよ。オレも逆の立場ならそう思うし。嬉しいよ」
まーさんはどうやら、カオルからの愛の言葉を欲していたらしい。
いつもは「カオルさんオレのこと好きそうだもんね」なんて、上から目線で茶化してくるくせに。
だからカオルも重くなりすぎないように、あまり口にしない方が良いなかな?なんて思っていたのに。
嫉妬で不安に駆られて、愛情表現をもっともっとと欲しているようだ。
たくさんキスをして、最後にまたひとつになる。
合体はしたが、まーさんの部位が元気なく、あまり動くことなく抱き合って愛を感じ合う。
どうやらまーさんは、精神的にやられているようだ。
そういえばまーさんもHSPにかなり当てはまるんだった。
意外と繊細なんだよね、まーさんも。
「今日は色々あったけど、すごく良い日になったね」と、まーさんが安心した声音で言う。
「うん、私も同じ事思ってたよ。お互いの気持ちを知れて、もっと仲が深まった気がするよ」
「やっぱり?オレもそう感じたよ。すごい良かった気がする。最初不安だったけど話して良かった」
「私も、まーさんがちゃんと話してくれて良かった。話もできずに連絡断つとか、そういうの悲しいもん」
「オレもそういうのはイヤだ、ちゃんと話がしたいし。何かあっても絶対連絡はするから!カオルさんの過去の人みたいなことしないから!」
まーさんは、カオルが元彼にフェードアウトされて悲しかったというエピソードを指して、約束する。
「来月のカオルさんの休み聞いておこうかな。休み合わせられるかもしれないし」
そんなことも自発的に言ってくれる。
ずいぶんと激甘になってきたものだ。
抱き合いキスを繰り返し、離れ難い眼差しでお別れをする。
「電話してきて良いからね」というまーさんの言葉は、今日の流れからすると「電話してね!」に変換されて聞こえる。
思わず笑ってしまい、「まーさんから電話してくれても良いんだよ?」と返すカオル。
「うん、でも何話したら良いかわからないし、電話かけるの苦手なんだよね…」
そう俯くまーさんが、愛おしい。
ひねくれてるけど、素直で単純。
可愛いなぁ。
今日は本当に良い日だった。
まさかこんな展開になるとは。
人の心は底しれぬものなんだなぁ。
愛には終わりがないのかもしれない。