「そんなの行かないよ、カオルはまーさんが好きなんだから。他の人に興味ないんだよ」
「じゃあなんでLINE交換したの?」
「だって聞かれて断れなかったし、友達だし。つい懐かしくて…」
「そっか、カオルさんは男友達とLINEするんだね。よくわかったよ」
「えぇー、まーさんも元カノや女友達からLINE来たりするでしょ?!」
「オレはしないもん!女友達いないもん!」
「だってさ、20年ぶりに友達に会ったら懐かしくない?まーさんも今中学時代の女友達に会ったら、懐かしくて盛り上がらない?」
「でもオレはLINEは交換しないもん!…けどカオルさんが悪気ないのは何となくわかってきた。だってやましい気持ちがあるなら、あんな堂々と見える所でLINE交換しないだろうし、誤魔化したりできるだろうから…」
「そうだよ、悪気なんて無いよ!」
「でもさ、見えない所では何やってるかわからないし。それを言い出したらキリがないから、信じるしかないんだろうけど…」
その言葉を聞き、カオルにもスイッチが入る。
「そうだよ、私たち出会い系がキッカケで知り合ってるから、どうしたってそこがついて回るんだよ」
「だからこそ、疑い出したらキリがないから、私はまーさんを信じようって思ってるよ…」
熱がこもって話しながら涙が出てきてしまう。
「えっ、カオルさん泣いてるの?…おいで」
不意打ちの涙に動揺したまーさんは、カオルを抱き寄せる。
全く計算した涙ではなかったが、よしっ、と心でガッツポーズするカオル。
どうやらまーさんは涙に弱いらしい。
これはまーさんに限ったことではないが。
過去としきに浮気を疑われた時も、涙でその場を凌いだのだ。
若い頃は泣いたからとて、大して男を動揺させた記憶はないが。
大人の女の涙は破壊力があるのだろうか?
決してわざと流した涙ではないが、こんなに効力があるのなら、活かさせてもらおう。
「ごめんね、まーさん。嫌だったよね?LINE交換したの悪かったよね、反省してる。逆の立場だったらすごくヤキモチ妬くもん」
「うん、嫌だったよ。見えない所でするならまだしも、あんな目の前で。でもよくわかったよ。カオルさんは悪気ないって。カオルさん社交的だから、他の人とはあんな風に接してるんだなぁってわかったよ」
涙をキッカケに、ガラリと風向きが変わる。
一転して、カオルという人間の性質を理解し始めたようであるまーさん。
あら、意外と単純なのね。
今度はこっちの番よ!