スタバに着いて、何事も無かったように飲み物をテイクアウトし、近くの公園内を散歩する。

手にカップを持っていたら、手を繋ぐことは無理だろう。

人目もあるし、安心して歩くことができる。

何より対面ではないから、目線に困らない。




食事中は、真っ直ぐ見てくるしんちゃんの視線が、湿度を帯びて重く感じていたのだ。

目から伝わるよねぇ、エネルギーって。

私いつも、夫やまーさんといる時、どこ見ていたかな?

そして彼らは、どこに視線をやっているかしら?




やっと開けた空間に身を置くことができ、カオルは深呼吸する。

季節限定のサクラ風味のドリンクを飲みながら、ゆっくり公園を歩く。

梅の花やパンジーがちらほら咲いている。




早めな速度のしんちゃんに引っ張られるように、カオルの足も速くなる。

もっとのんびり歩きたいんだけどなぁ、、

「さっきは、いきなりでごめんね。ちゃんと伝えたくってさ。でも返事はゆっくりで良いからね。俺は純愛だから、それだけは言っておきたくて」




何度も言われると、ゆっくりで良いといいつつ、返事を催促されてるように感じてしまう。

「そうだね、ゆっくりぼちぼちね〜」

と、あえてリズムを崩すようにのんびり答えるカオル。




だって今すぐ答えるならば、NOだもの。

今はまだそんな気になれない。

本命がいない時なら、適当にOKできたけど。

今はまーさんがいる。

そしてそれ以外の人に、心が向かない。




けど、先の未来になら、まっいっか、という答えも出るかもしれない。

その時までしんちゃんが待てるのであれば、OKになるかも。

そんなことを思いながら、いつの間にか公園を一周してしまっている。




デート開始から3時間経過、そろそろタイムリミットだな。

だいぶ疲れた、帰ろう。

「これからどうする?」というしんちゃんの問いに、「送ってもらおうかな」とスパッと答えるカオル。




そちらにこれ以上の提案がないのであれば、私は帰るよ。

ま、恋愛ベタベタなデートコース提案されても困るけどね。