3月末、やっと休みが重なったI川さんとデートをすることになった。



カオルは早起きしていそいそとサンドイッチを作る。



普段料理なんてしたくないカオルだが、好きな男ができると一転、何か作りたくなるのだ。



I川さん喜んでくれるかなぁ♪



車で迎えに来てもらい、そのまま隣の市のホテルへ。

海の見える眺めの良い部屋。



「こんな場所でカオルちゃんとゆっくり過ごせて幸せだよ」

とI川さんはニコニコと言う。



サンドイッチも美味しそうに食べてくれた。



エッチも変わらず丁寧に愛撫して尽くしてくれる。



けど、事が終わった後にすぐ寝てしまう彼に淋しさを覚えるのだった。



男性って、気が緩んでくるとエッチの後すぐ寝ちゃうよね、、



寝息を立てて熟睡している彼を、腕枕の中で悲しく感じていた。



しばらく熟睡して起きると、I川さんは昔話や、これからこんな所へデートに行きたいね、とか色々話すのだった。



良いね、行きたいね。



とカオルも答えるけど、心の中ではもう彼に対する信頼は無くなっていた。



出会った頃から、ああしたいここ行きたいって言うのはいつもI川さんなのに、実現してくれたことないよね?



口ばかりの約束や夢物語に、カオルは飽き飽きしていた。



綺麗事のオブラートに包まれているけど、この人はそこまで私のこと真剣に想っていないんだわ。



誰かを好きになるとどうしても、その人一色になる。

その人のことしか考えられなくなる。

その人からの連絡を待ってしまう。



多分このエネルギーが重くなって、相手は距離を取り出すんだよなぁ。



自分が追いかけだすと、相手は引いていく。

独身時代からのパターンだけど、婚外の恋愛でも同じことしてるカオル。



情けない、情けないけど、どうしたらいいかわからないよ。



カオルにもプライドはある。

むしろプライドが高いから、こうなると早くやめなくては、と心の転換方法を考えだす。



だって、次いつ会えるの?

って聞いて、

わからない、ってはぐらかされるの、もうイヤだもの。



だからもう、私からは聞かない、聞きたくない。

いつ会えるかなんて。



彼から、会いたい、って言われるまで、私はもう何もしない。



追いかける恋より、追われる恋がしたい。

初めから最後まで、ずっと熱量高く追いかけてほしい。



それがカオルの願いだった。