初エッチ以来、職場で顔を合わせるとK宮さんは、事務所へ来ないかと誘ってきた。
休憩時間のタイミングが合えば、カオルはその誘いに乗り、短い逢瀬を楽しんだ。
休憩時間の中でしかできないから、エッチが短いのはしょうがないよね。
いつも口ですることを要求されるのも、相手が一方的にイッて終わりなのも、しょうがないよね。
きっと回を重ねれば、私に気持ちが入って、エッチも丁寧になっていくよね。
お互いに結婚してるし、これくらい割り切った関係の方が良いんだよね?
初めてのエッチの脳内の刺激が落ち着いていくと、その後には色んな不満足がぽこぽこと生まれてきた。
そんな不満を自分で、しょうがないと言い聞かせてきてはいた。
そう、いつものことだが、体が1つになると、その後には心も1つになりたいと思ってしまうカオルがいるのだった。
しかし生まれながらの恋愛体質の勘が言う。
K宮さんは、心が動くタイプじゃないよ、あれは遊びを求めてるタイプだよ。
だよねぇ、体と心は別のタイプだろうねぇ。
だってキスもしない、ハグもしない、甘い言葉もない。
いくら頭お花畑のカオルにだって、相手が何を思っているかは分かる。
男の気持ちは、行動、態度、言葉に表れるものだ。
そして期待できない相手に、それを求めてもしょうがない。
まいっか、体が発散できれば。
そういう相手がいるだけで、いっか。
そう言い聞かせて、カオルはK宮さんとの関係を続けていた。
けど心も体も満たされていないことに変わりはない。
ひとつ火がついたら、次々と着火していく。
カオルはK宮さんだけでは埋められないものを求めて、また新たなターゲットを見つけることにした。