もらった石 | 松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

もらった石

 

 

中学の2年間、鉱物採集に熱中して、それが30年後、自分の長男が中学になったころ、やはり鉱物集めに熱中したのと、、「ストーンマーケット」みたいな石を売る店もできたりして、世間的に何となくの鉱物ブーム?とが重なって、自分の店のあちこちにも昔、自分で採った石や、買った石を並べています。


すると、中に鉱物に興味のある方が現れて、ときどき大事にされていた石をいただくことがあります。
そのことで何かしら、私に託したいことが有ったのでしょうか?

 

上の写真の石は、そういう3人の方から「貰った石」です。

上左の水晶と右のラピスラズリ、中央と下右の蛍石、写真では分りにくいけど下左のルチル(金紅石)

 

でも、鉱物の結晶というのは、うまく写真に撮れないものですね。

 

 

さて、今回は高齢のご婦人が、一人暮らしをたたんで施設に入ることに決めたので、集めていた石のコレクションを貰って欲しいということでした。

その方には、いまお世話になってる、甥ごさん姪ごさんがあるらしいので、そちらに相談して、要らないと言われたら、頂きましょうと答えました。

 

それから1週間、その方が上の写真の箱を持ってこられました。

コレクションの主だったところは、甥ごさんが持っていかれたそうですが、この箱の中の分は別に取っておいたそうです。

 

ああ、ディアゴスティーニね。

1冊、千円くらいの週刊で、しょぼい鉱物標本が、1個おまけに付く。

うちの長男もいっとき買ってたけど、途中で飽きてしまったシリーズ物。

 

 

でも、中身を開けてみたら、ディアゴスティーニの標本なんかではなくて、この方が一つずつ、買い集めた標本でした。

ディアゴスティーニの外箱を利用しただけのことでした。

 

上左から、

〇「糸魚川産ヒスイ原石」 でも、どこにもヒスイらしい、青も緑も無いの

 で、これでヒスイ原石と言えるのか?

〇ナミビア産 紫鉱(パープルライト) ネットでは蛍石となっています

  が、そうは見えない。紫鉱とは何でしょう?

〇中国産 藍銅鉱(アズライト) 銅の鉱物はきれいな色の物が多い。

  この深い藍色は好みです。

〇メノウ 上の標本は紫水晶(アメジスト)になってる。

 

下段 

〇アンモナイト大(マダガスカル) 小さいのはモロッコ産

〇ヒスイの原石? 磨いた断面がキレイ。しかし、ラベルがないので

  何か分かりません。

〇コランダム ルビー、サファイヤの原石。左の赤い小さな方にルビー

  タンザニア産とありますが、ある特別な色目の物だけがルビーなの

 で、これは違いますね。

 

上段

〇三葉虫 モロッコ産

〇黒曜石(アリゾナ産)溶岩が急に固まるときにできた天然ガラス

○サンゴの化石 (ユタ州) 磨いた断面が濃いオレンジできれい

下段

〇ツァボライト(タンザニア) クロム系の緑のザクロ石 

〇モルダバイト(チェコ)昔、チェコに落ちた隕石の熱でできたガラス

〇ギベオン隕鉄 (ナミビア産) 金属の小球

〇鉄隕石(アルゼンチン産) 

※この3個の標本が一緒になっていて、この方のコレクションがいい加

  減な物ではないのが分かりました。この3つは隕石絡みです。

  隕石の95%は石質ですが、5%が鉄・ニッケルの隕鉄。地球の中  

 心核が鉄質であるように、惑星の中心核から由来するものです。

 この方が、地球の科学全般に興味があったことが分かります。

〇パライバトルマリン(ブラジル) これも驚きでした。トルマリン(電気 

  石)は各色あるが、このスカイブルーはブラジルのある鉱山で、あ

  る時期だけ採れて、いまは産出しない、貴重品です。

  これは濁って宝石になりませんが、宝石なら小さくても高い。

 

上段

〇インディゴ・トルマリン(ブラジル) 灰青色の電気石

〇デマンドイド・ガーネット(マダガスカル) これも緑色のザクロ石

 ザクロ石は私が一番好きな鉱物です。化合物によって赤茶色・黒・黄

 色・灰・オレンジなどの色になる。クロムによる緑の物は、自分では採

 れませんでした。でもさっきのツァボライトとどう違うのでしょう?

〇バナジン鉛鉱(マダガスカル) 鉛の鉱石では珍しくオレンジ色

〇オパール(オーストラリア) 宝石になるキレイな物は少なくて、こうい

  うジミな色目のものは、たくさんあるようです。

下段

〇自然銅(産地不明) 銅鉱石の地層が地表で風化して、金属銅とな

  ったもの。銅だから見た目より持ち重りがします。

〇カバンシ石(インド) 可愛い結晶ですが、私は初めて聞く鉱物です。

〇スギライト(南アフリカ) 1944年、杉健一により愛媛県岩城島で採集

  され、1974年、新鉱物として認定された。

  図鑑で見たことはありますが、実物は初めてです。

〇レッドスピネル(タンザニア) 尖晶石 下端の赤黒い部分

  透明度の高い物は宝石になります。

〇ハックマン石(タンザニア) 曹長石のピンク色の物

  これも私は初めて知った鉱物です。

 

この方には、以前にも貝の化石が宝石質のオパール化した、極美な標本を頂いたことがありますが、私なら決して買わないような、かなり高額のものがたくさん入っています。

例えば、ツァボライトは1万8千円など。

 

鉱物標本は、買うときには、それなりのお代を払わないといけませんが、しかし、いざ、そのコレクションを整理するとなると、どこの「買い取り屋」も、それはうちでは扱ってません、と言うでしょう。

古本なら、せめて「古紙」としての値は付きますが、鉱物標本は、ただ「鉱物マニア」が「キレイ」というだけで、他の人には何の値打ちも無い物です。

 

 

この方は、何故かそういう鉱物に魅かれるところがあって、ポツポツと気に入った標本を買われていたのでしょう。

 

この標本を下さるときに、長い人生の一端をお伺いしましたが、終戦時に小学校5年生だから、いまは85歳でしょうか。

終戦の時に父親が中風になって、寝たきりに。生計の道を断たれ、傘もなくて雨の日に学校にも行けないような暮らしで、先に大阪に出ていた姉を頼っていった。

それから、さまざまな住み込みの仕事を転々としていたが、ある時、神戸の高級料亭に引っ張ってくれる人がいて、そこの勤めが長かったようです。

知事や市長、議員さんなんかが、おおぜい来るようなところだったそうです。

学校もほとんど行けず、なんの学もない娘やったから、いつでも自分でちょこちょこ本を読んだりして、勉強していたのだと。

 

うちには、薏以仁(ハト麦)を買いに来られていましたが、実に愛嬌のある、笑顔のやさしいお婆さんです。

この方には、もっといろんなお話を伺えたら良かったと思います。