ロッキー旅行は長くなるので、その前に、サーモンランのお話を挟みます。


ケロウナから車で2時間位の所に、Roderick Haig-Brown Provincial Park と言う公園があり、その公園を流れるアダムスリバーには毎年、サッカイサーモンが海から戻ってきて産卵を行うので有名です。


今年は例年にないビッグ・ランだと言われており、早速私たちも見に行きました。

ここへ来るのは大ちゃんは今回で3度目、私は初めてです。



川いっぱいに、真っ赤になったサーモンが泳いでいるのが分かりますか?




川は、流れが強い場所や幅が拾い場所、狭い場所など色々ですが、何処にもサーモンがいっぱい!!




背びれが出る位、浅い所も泳いで、どんどん登っていきます。

あちこちにカップルが出来ていて、スポーニング(産卵)の準備をしたり、産卵後に巣を守ったりしています。



この公園を良く知る大ちゃんは、人ごみでいっぱいの展望台よりも、公園の奥へ奥へと歩いていきます。


すると、こんな幻想的で素敵な場所が出てきました。

人も殆どいません。





透明度抜群の小川のせせらぎを見つけました。

ここは、流れがあまりないので、ゆったりとサーモンが泳いでいました。

他の大きな川の喧騒さと違って、何とも癒される場所でした。





3週間のサーモンフェスティバルで、アダムスリバーのこの場所への来客は25000人にもなるそうです。




サッカイサーモン(紅鮭)は海にいる間、Carotenoidsという、ニンジンと同じ色素の食べ物を食べて生きているので、白身魚の仲間でありながら、その身は鮮やかな赤色をしています。


4年後に、生まれ育った川へ戻って、産卵をする為に、雄も雌も、体の色素を卵や皮膚へ移動させる事で産卵の準備を始めます。

ですので、赤くなったサッカイの身は白いそうです。

この赤色に染まった皮膚を見て、お互いに産卵の準備が出来ている事を確認しまいます。


皮膚に赤色を移動させるのには、多大なエネルギーを必要とするのと、バンクーバーから500キロ離れた川まで、一切食事をしずに上昇し、産卵をするので、産卵後は皆、死んでしまいます。



という知識はあっても、実際見てみると、本当に感動します。



相手を見つけたサーモンは、必ずツガイで寄り添っています。


私は今回、すごくラッキーにも産卵シーンを見ることが出来ました。

流れが緩やかで、水の反射がなく、浅い所で目の前で行われたので見ることが出来ましたが、普通は見えないと思います。


柔らかにこぼれ出る、オレンジ色の卵は、あまりにも繊細で、一気に水の流れに流されてしまいます。

なので、メスは地面のくぼんだ所に卵を産み落とし、オスが受精をするとすぐに尻尾を使って、周りの砂を撒き散らして川底へ卵を埋めます。


その後も、二匹は寄り添って、巣の上から離れないように泳ぎ続け、他のメスが巣を狙ってこないように、近寄ってくる全てのものを威嚇し、時には噛み付いたり、体当たりしながら卵を守ります。


そうして、その内力尽きて死んでいきます。


その様子を見ていると、思わず「ガンバレー!」

とか、「頑張ったね、お疲れ様」

「卵が無事、成長するといいね」

と声をかけたくなります。


とても美しく、切なく、儚い物語を目の前で見ている気分です。





ですが、人間とはあまりにも残酷で、非情な生き物です。

勿論、私もお魚を食べるので同類ですが、この美しい物語の中には



産卵して必死に巣を守ろうとするサーモンを目の前にして、釣る人々や





長い棒を持って、浅瀬にいるサーモンをバシバシと意味もなく叩きつける中国人のおばちゃんや、



この産卵シーンを水中カメラに収めようと、この穏やかで小さい川へガツガツと入り込み、歩き回って生まれたばかりの小さな卵を踏み潰す人など・・・





綺麗ごとかもしれませんが、悲しい気持ちになりました。