私は伊坂幸太郎の作品がとても好きだ。
なにやら中学生が勉強する英語の教科書の例文みたいだが、私は彼の作品が好きである。
初めて伊坂作品に触れたのは確か5年ほど前に読んだ重力ピエロであったと思う。独特の言い回しやこんな人になりたいと感情移入させてくれた物語にただただ感動した。
今回久しぶりに読了したのはSOSの猿という長編小説だ。証券会社のある社員による株の誤発注事件を皮切りに同じ町で起こる引きこもり少年の悪魔払いをつなげ合わせるという物語であった。
とこれだけでは訳がわからないストーリーであるが、その繋ぎ合わせるのに重要な役割を持つのが孫悟空であった。
さらに訳がわからなくなるであろう。無論私もそのうちの一人であった。ただ訳がわからなくなればなるほど最後にぱちっとはまる伊坂作品は本当にやめられない。
中でも好きなのは「暴力は必ずしも悪なのかな」という問いである。その意とは、暴力の背景にどんなことがあろうともそれ自体は善とはならないのかということであろう。
誰もが一度は考えるであろうなぜ人を殺してはいけないのか、傷つけてはならないのかをこの一文が問い詰めてくる。そんな感覚に 襲われた。
人を守るための暴力、救うための暴力、それに報復と報酬。小説というものの中に描かれる日常のかけらに胸が熱くなった。