今、某コンペを聴いての帰りです。
「聴いて」といっても実は二人しか聴いてません。もともと都合で早く帰るつもりでしたが、胸いっぱいでこれ以上は聴けなかった。

コンペの戦友というべき友人が参加したのですが、ほんとにすばらしい演奏をされました。
彼女はモーツァルトのあるソナタを長く弾いていて、私も何回も聴かせていただいており、つい2日前もうちで弾いてくれたばかり。
相当な上がり症で本番ではなかなか力がだせないだとか、大人になってからピアノを本格的に始めて、それはそれは厳しい先生について泣きながらレッスンを受けられたこともあるとか、いろいろなことをこちらも知っているので、弾き始めるまでは正直ハラハラしてました。
しかし、最初のフレーズが聴こえてきた瞬間、ほんとに一聴衆としてただただ聴き入るのみ。
ひとつ前のかたが、緊張からなのか、大音量で若干荒れ気味の演奏をされたのですが、
その余韻の残る会場に清水が流れるがごとく、静かにみずみずしく曲が始まりました。

感謝と幸福感とどこかもの哀しさの漂う演奏・・。
「ここを聴いてくれ」的なあざとさのない、謙虚で気品に満ちた演奏・・。
全体に音量も表現も抑え気味でしたけど、それがかえって、この曲の真の姿を明確にしていたようにも思います。

などというのはあとから考えた分析でして、聴いてる最中は、ただただいろんなものが顔面流れ落ちるのみでして、もうこれ以上コンペという場でほかの演奏を聴ける状態ではありませんでした。

こんな演奏を客席で聴く幸せに恵まれたのは、私が今年出場していないから。
来年も聴衆の立場で楽しめればそれでいいと思っています。