「敬老の日」と重ね合わせては失礼きわまりないのだが、
それにしても昨日のヤシンスキ氏のパワーには圧倒されっぱなしだった。

たしか朝飛行機で到着され、そのまま午前中いっぱい公開レッスン。
午後2時間、ご自身でモーツァルトのソナタを2曲全楽章弾きつつ講義。
さらにモーツァルトの最晩年のロンドという作品(これ、27番コンチェルトの第2楽章にも似た美しい曲であった)を弾かれ、受講者からの質問に答えられ、
さらにショパンのポロネーズを弾かれた。
そのあとは午後の部の公開レッスン2人。(私は1人のみで失礼したが・・・)

こう書いただけでもすごいスケジュールなのだが、
これがじっとすわっておられるわけではないのだ。
紳士的物腰でいらっしゃりながら、レッスン時はほとんど立っておられ、足を踏みならしたり、手を添えられたり、自身で弾かれたり、と実にエネルギッシュ。

最近、どこかでこのようなパワフルなお方を拝見したなあ・・・と記憶をたどってみると、それは<唐 十郎氏>なのであった。
このお二人は、ジャンルもタイプもまったく違うアーチスト・・としか思えないのだが、なぜかふと思い出してしまった。

つい最近、以前の録画を見ていたら、たまたま唐氏へのインタビュー番組があった。
役者としてはそのあまりにもキョーレツな個性ゆえ、こちらも見るだけで血圧が上がってしまうのだが、素のトークは割合静かなんだ・・・と思っていたところ、
某大学での初回の講義模様がVTRで流された。
なんと馬に乗って黒板を破って登場!!
さすがというべきか、なんというべきか・・・
司会者が「すごい演出なんですが、どうしてまたこんな・・・」と。
「いやね、<教える>っていうのはこちらのエネルギーを吸い取られるわけですよ。なんで、こっちも若い学生のエネルギーを吸血鬼のように吸ってやろうと思いましてね」
・・・・そうですか・・・・・
トークは続く。
「初回、あんなことやっちゃったんで、学生の方は<次はどうやって笑わかしてくれるんや>と見物にくるわけですよ。それがいやでね、絶対笑わせないようにしようと思って、2回目は硬い演劇論をやったんです。そしたら、携帯でピッピやってるわけですよ。そうか、硬すぎたか・・と思って、3回目は真っ暗にして実際の舞台の録画を見せたわけです。そしたらまたダチ公と携帯でコミュニケーションはかってるんですよ。もう頭にきましてね、通路を這っていって机に飛び乗って携帯38個を奪いました」


唐氏、「人にもの教えて消耗」するような方じゃないです。
学生さん、血を吸われたばかりか、尻子玉まで抜かれたのではないかと心配です。


ふりかえって昨日のヤシンスキ氏のことなのだが、
考えてみれば、数時間教えたくらいでヘトへトになったりされるようでは、
国際コンクールで朝から晩まで何百人もの演奏を聴き続けることなどできないはずなのであった。
受講者の一人として、講義やレッスンの内容もさることながら、アーチストや指導者としての底知れないパワーに触れたことがなによりの収穫だったとあらためて思うことであった。