昨日、録画していた「アルゲリチの音楽夜話」を見ていたら、
アルゲリチの最初の衝撃の音楽体験の話をしていた。

それは6歳の時、クラーディオ・アラウの弾いたベートーベンの「ピアノ協奏曲第4番」だったという。
2楽章の長い長いトリルで体に電流が走った、と。
4番はそういういきさつから、大変大切な曲なので自分では弾かないらしい。

実は、この話はかなり意外だった。
アルゲリチは「プロコフィエフは簡単よ。だって私は彼に好かれているもの」
「シューマンは好きよ。彼とならうまくいくと思うわ」というピアニストであり、
またショパンコンクールの覇者でもあるから、なんとなくベートーベンのイメージから遠かった。
実際はベートーベンのコンチェルトなど弾いているのだが、私はピアノソナタを含めいっさい聴いたことがない。
そのアルゲリチの衝撃体験が、4番協奏曲であったとは!
きっと、アラウの演奏自体にもインスピレーションを感ずるものがあったに違いないが。

誰しも、こういう体験はインパクトの大小に関わらず持っているものだと思う。
私は、生の舞台としては小4の時見た「ドン・ジョバンニ」の話(ヨコシマな動機はバブルなもの )を以前書いたが、
レコードでの体験はなんであったか?
おそらく、シューマンの歌曲「二人のてき弾兵」であったと思う。
これは、「流浪の民」や「歌のつばさに」等が収められたレコードの中の一曲で
今となってはもう誰が歌っていたものやら不明なのだが、
とにかく、何回も何回も聴いた。
なにがよかったのか?

<二人の兵士が戦いから敗走の途中、「わがフランスは敗れ、陛下は捕らわれた」との報に接し、悲嘆にくれる。
しかし、「我々は死すともフランスは不滅だ。そして我々の屍の上を陛下は馬でいさましく駆けられる日がくるのだ。フランス万歳」>
とこういう内容で、しかも文語なので、小2か小3の子供に、どこまで理解できたかあやしい。
この中で好きだったところは、「短調で和音が順次に下降していくところ」「めまぐるしく転調が繰り返されるところ」の二箇所で、
今にして思えば、現在弾いている曲の好きなところも似たようなものだ。
進歩がないともいえるが、子供なりに本質をついていたともいえる。

こういう記憶を掘り起こすと、子供時代の影響はあなどれないと思うのだが、
では今、二児の親としてはどうか・・・・

「あなどれない」どころか「あなほりたい」(そうでもして、アナに入りたい・・)状態です