ーヒゲさんの動物人生ー

吉村卓三

 

子どもの時

動物に関する仕事って良いなと思ってた

動物の仕事・・・

獣医かぁ・・・

と思っていた

 

今思えば

動物園で働くことは

考えたことはなかったな

思いついてなかった

獣医さん以外

思いついていなかったと思う

 

動物と暮らしたいけど

ダメだと言われて

だけど

野良猫が庭に住み着いてくれて

その子と暮らすことになり

やっぱり

良いなぁと思った

 

獣医さんにお世話になって

とても助けられたし

良いなぁって

 

だけども

ド・文系

だと気づいてしまい

命を背負う怖さも知ってしまい

知らずと

獣医になる夢は

消えていった

 

そんなことを思い出す

 

この本を買ったのも

小学生の時で

ムツゴロウさんは必ず見てたし

この本のあとがきも書いてくれてる

カバ園長の本も買ったりしてた

漫画の動物事典は

動物と鳥も持っていたし

家の百科事典も

動物の百科事典を一番見てた

 

だから

この本も

正直

このヒゲさんが誰かも知らなかったし

単純に「動物」ってことで買ったんだと思う

 

この本を途中までしか読んでなかったのか

子ども心に

書いてる人の経歴とかそんなのどうでも良かったのか

役者の道を目指してたなんて

今回改めて読んで初めて知った・・・

 

えっ堺俊二?

その息子の正章君?

堺正章のこと?えっ?

だったので

多分読み切ってなかったんだと思う・・・

 

でも

覚えていたのは

「肥溜めに落ちたことがある」

「クロ(犬)の写真が怖い」

の2点だ

 

特にクロが怖いってのは

鮮明に覚えてたのだ

表紙を見ると

「あっ、怖いクロの本だ・・・」と

思うレベルに

 

犬っぽくないのだ

当時の写真の画質が悪いということを

考慮してもだ・・・

 

だって他の犬の写真は怖くないんだもの・・・

クロ2世も

ちょっと怖いから

きっと本当に

犬っぽくない犬だったんだな・・・と

思ってる

眼がくっつきすぎてるのだよ

正面につきすぎているというか

平らな顔で目がしっかり正面に二つ見えてるから

人間臭いのかも知れない

人面犬的なことなのかも

 

生まれて初めて

感じた犬への恐怖

いや

小さい時に川の飛び石を渡ってたら

大きな犬が来て

すれ違うのに場所が狭くて

固まってたら顔をベロリとなめられて

怖かったことがある

セントバーナード的なでかい犬だったと思う

だけど

そういう襲われる!という怖さではなくて

別の怖さで

動物で初めて感じた怖さだった

 

テングザルを初めて見た時の

ぞわっと感に似てるかも

 

何はともあれ

その恐怖に負けて

本を閉じた可能性もあるのだけど

 

今回改めて読んでみて

普通に戦争の時の話が出てきていて驚く

そうだ

戦争って

私にとっては

そんな距離感だった

 

あの時は・・・

と実体験として語れる人がいた時代だった

 

今の子は

違うんだろうな

当事者として語ってくれる人の話しではない

どこか遠い話なんだろうな

 

今現在も違う場所で起きている戦争なのに

過去のものと感じてるんだろうな・・・

 

ヒゲさんは

お兄さんと

おばあちゃんのところに疎開するのだけど

そこで動物と触れ合い

世話することを覚え

肥溜めに落ち・・・

という体験をするのだけど

あのころ、都会からの疎開組は、クラスの中でも、やっかい者のようにいわれて、なんとなくなじめない雰囲気がありました。

大阪に帰れば、たくさんの友人がいましたが、この結崎小学校では、なかなか友だちができなかったのです。でも、わたしには、そんなさびしさをうめて、あまりあるほどの楽しみがあったのです。それが昆虫採集であり、魚とりであり、ニワトリの世話であり、由太郎じいちゃんだったのでした。

こんな風に逃げ場があることって

本当に大事なんだと思う

学校に合わなくても

他に自分の好きな事があったり

親以外でも拠り所になってくれる大人がいること

それでこうして

好きなものを追求できるって

大切だなぁと

 

逃げ場がないと

こんな風には楽しめなかった

逃げ場って大切だ

親や教師が気づきにくいネットの世界が加わったことで

昔より陰湿になった面はあるんだろうけど

いじめは今生まれたものじゃなくて

残念ながら昔からあったんだと思う

 

だけど

それ以外の世界がある

それ以外にも自分には生きる価値があるっていうのを

子ども自身が実感しやすかったのかも知れないと思う

 

クラスメイトだけが自分に関わってる人間じゃないし

学校や塾の成績だけがすべてじゃないことを

体感できていたのだと思う

 

にしても疎開先から戻ってきた大阪は

食べものがほとんどない状態で

ひもじさと戦いながらの生活

そんな中で

200羽ものニワトリを育て

新聞配達をして

お小遣いをもらうことなく

貯金を約40年前の価値で100万円位になるまで貯めたという

私にはできない話だ・・・

それもネットなんてなくて

自分で体験しながらやっていくしかない状況で

それを行ったのだ

 

それなのに

役者の道に進んで

弟子入りしたのに3年でやめてしまい

それでも歌手のマネージャーを務め

その後

映画製作会社の取締役になって

できたお金でふれあい動物園、移動動物園を作るって

どんな人生だ!

最後の著者紹介には

アメリカの大学を卒業してるし

さらにアメリカの大学から名誉獣医学博士号を受けたりもしていて

大人になってからのヒゲさんの人生が

知りたい!

と思って

現在の力であるネットで調べたけど

Wikiにもちょっとしか書かれていなくて

彼の人生を読み解くことはできなかったのが

最後の心残りだ

 

ちなみに動物は今でも好きなのだけど

動物園には反対派だ

種の保存という意味はあるのだろうけど

動物園で保護しなければ守れないというより

その環境で守るのが本来だと思うし

ましてや移動動物園は

動物にとっても負担が大きいだろうな…とそう思う

だから

ヒゲさんと動物観というか動物への向き合い方は

一緒ではないと思うのだけど