視力に頼って普段は生きている気がする

でも
写真を見たり
ビデオを見たりして振り返るよりも

音や
臭いで
ふと昔に戻る方が
あっという間にタイムスリップする


漂白剤の臭いは
私を昔に連れ戻す

今日は会社を退社する前に
使っていたコップを洗った
そのスポンジに漂白剤が染み込んでいた

その瞬間に私は
小学校に戻った

漂白剤の臭い



プールの臭い

なのだ

私の人生における
唯一の習いごと

それが
水泳
だった

小学校の時に
姉に続いて習いに行った

毎週水曜日

行く前のあの嫌々感

バスを待つあの感じがいやだったから
バスに遅れないように学校に帰宅して
友達が来てなかったらいやだなぁ来るかなぁ
と携帯なんか無い時代には念じて友達が実際に来るかを待たなきゃ駄目だった
バス停に着くと
バスがもう行っちゃったのか
それともまだなのか
時間ぎりぎりに着くと分からなくて
不安だったりしたあの感覚
あの頃から
時間に追われる感じが
大嫌いだった

ついてしまえば
毎月一度の進級テストにドキドキしたり
時間が来るまで並んで待ってたりする時間が退屈だったり
水着着るのがめんどうだったり
体操がだるかったり
飛び込みに緊張したり
帰りはお父さんが迎えに来てくれたりしたときは
お父さんを皆に見られるのがなんだかちょいと恥ずかしかったり
髪からあの塩素の臭いがする状態で
お父さんは肉まんを買ってくれたりしたなぁとか
そういった事が色々あって
そして全体として楽しくて
幼稚園の同級生と再会したり
学校以外の友達を作ったのは
町内会とかに全く参加していなかった私には
初めての事で
そういう事とか全てが懐かしくて

そんなついでに
淡い淡ぁい恋心とかも
想いだしてみちゃったりして

あぁ
懐かしい

あの頃は
こんな自分予想してなかったよなぁ
とか

あの頃の
皆はどこに行ったんだろうなぁ
とか

あっと言う間に
あの臭いだけで
全てがよみがえった

帰る直前だったし
そのよみがえった想いをとどめるものは無くて
ずっとずっと
考えながら
その想いに浸りながら

あの自分の世界が広がっていく
その只中にいた自分が
今と同じ自分であって
バス停からの道ですら
心臓が口から出そうな
なんかもあもあしちゃってた私が
今こうしてフィリピンにいるんだな

何だってやっていけるような
やり直せたらどうしてたんだろうかみたいな
ちょっと切ない想いとか

いろんな気持ちに
襲われた